すぐ売り切れ「オオサンショウウオこんにゃく」の生々しさ
「広島の奥座敷」と呼ばれる「湯来(ゆき)温泉」(広島市佐伯区)で、国の天然記念物をかたどった「オオサンショウウオこんにゃく」が話題になっている。魚卵を混ぜ込んで生々しく再現したこんにゃくだが、SNSなどで「キモかわいい」と評判に。1日約100個の限定販売で、通信販売は1カ月程度の待ちが続いている。
「午前中には売り切れ」
JR五日市駅(同区)からバスに揺られて1時間あまりで、湯来ロッジを中心にした温泉街にたどり着く。お目当てのオオサンショウウオこんにゃくは湯来ロッジ前にある「湯来特産品市場館」で取り扱っているが、訪れたときは残念ながら売り切れ。「人気商品なので午前中には売り切れます」と店員が申し訳なさそうに説明した。
オオサンショウウオこんにゃくは、地元の高校で製作された金型を「藤利(ふじとし)食品」(同区)が商品化した。伊藤剛社長(50)に取材をすると、「実物」を持ってきてくれた。体全体にツブツブが浮かび上がった姿は、まさに天然記念物そのもの。
「リアルさを追求してシシャモの魚卵を混ぜ込みました。醤油(しょうゆ)ベースで味付けしているので、そのままでもおいしく食べられます」
町内に生息するオオサンショウウオ
商品化のきっかけとなったのは、広島県立湯来南高校が平成26年から進めている「湯来町温泉同好会プロジェクト」。湯来町の名物や特産品をもとに地域活性化を図ろうという試みだ。ここで当時の生徒たちが注目したのが、同町名産のこんにゃくと、町内を流れる水内川(みのちがわ)に生息するオオサンショウウオだった。
「29年秋に学校側から金型を持ってきて『こんにゃくを作ってほしい』と依頼されました。面白い商品になると思いました」と伊藤社長は当時を振り返る。
オオサンショウウオのデザインは、生徒らが広島市安佐動物公園(同市安佐北区)へ行って観察し、前足の4本指、後ろ足の5本指まで忠実に再現した。

ただ、製品化して販売するにあたっては課題もあった。同校から渡された金型は20個しかなく、とても生産が追いつかないのは明白だった。このため地元の専門業者を通じ、約100個の金型を取りそろえた。
「黒色バージョンも」