PR

産経WEST 産経WEST

大津保健所の新人保健師 コロナ対応に奮闘 「不安抱く市民のために」

大津市保健所で勤務する加藤日向子さん
大津市保健所で勤務する加藤日向子さん

 新型コロナウイルス対策の最前線となる保健所で奮闘する新人保健師がいる。4月に大津市保健所に配属されたばかりの加藤日向子さん(23)。右も左も分からないまま、未知の感染症との戦いの中に身を置くことになった。非常時だけに手取り足取りの指導もない中、うまく業務をこなせず、落ち込むこともあったが、「不安を抱える市民のために自分にできることを」と懸命に仕事に取り組んだ。  (花輪理徳)

 「保健室の先生」の姿にあこがれ、看護の道を選んだ。病院実習で「退院後の患者はどう過ごしているんだろう」と感じたことがきっかけで、現場に立つ看護師よりも広く地域で健康を見守る保健師を志した。

 念願の保健師になったものの、新型コロナウイルスの影響で採用前に職場を見学するオリエンテーションや集合研修は中止に。「通常通りも分からない中、イレギュラーばかりだった」という日々が始まった。

 配属されたのは、母子手帳の交付のほか、乳幼児の親子や妊婦向けの教室などを担当する健康推進課母性保健係。政府が進める妊婦向けの布マスクの配布の準備を任されたが、再検品などをめぐって二転三転する政府の方針に翻弄された。出産したり、新たに妊娠したりと、時期がずれると対象者も入れ替わるため、延期になるたびにリストを作り直す作業に追われた。

 コロナ対応のため、母性保健係は人事異動で正規職員4人のうち3人が入れ替わったばかりだったうえ、これまでに誰も経験したことのない業務。周りの先輩は自分の業務に精いっぱいで質問しにくく、指示されたホームページの更新や通知文の作成に四苦八苦した。

 配属から1週間後、感染の恐れのある市民からの電話相談を受け付ける帰国者・接触者相談センターの手伝いを任された。コロナ対策の最前線だが、市民と直接触れ合える現場に出てみたいと思っていただけに、「とてもうれしかった」。

 前日にマニュアルをもらって段取りを確認。「世間はどんな状況なのか勉強しよう」と考え、インターネットで調べてみると、保健所の対応への不満が多いことも分かり、不安になった。

 迎えた当日、先輩の保健師がすぐ近くで見守ってくれていたが、受話器を握る手が緊張でぶるぶると震えた。マニュアルに定められた項目を全て伝えようとするあまり、つい早口になってしまう場面もあった。

 「しんどい」と訴えたある相談者。受話器越しでも不安な様子が伝わってきた。熱も感染が疑われる症状もなかったため、PCR検査を断らざるを得なかった。

 「あの人は大丈夫だったのかな」と思うと、帰宅後も心配な気持ちになった。

 これまでにない厳しい環境の中で保健師としての第一歩を踏み出したが、「むしろ、よい勉強になった」と振り返る。妊婦向けのマスク発送業務が一段落し、本来の業務である子育て教室の企画に取り組むことができるようになった。余裕はないが、「これからも市民に寄り添った仕事をしていきたい」と前を向く。

    ◇

 大津市は新型コロナウイルス対策にあたる保健師の採用を強化する。採用人数を大幅に増やすほか、公務員の統一試験日に合わせて実施してきた保健師の採用試験を1週間前倒しする。採用日は来年4月1日の予定だが、応募者の事情によっては前倒しも検討する。

 同市が中核市になり、保健所を設けた平成21年に71人いた保健師は今年4月には55人まで減少している。

 人員不足のうえ、コロナ対応で大きな負担がかかっている状況を踏まえ、ここ5年間、0~2人だった採用人員を7人に拡大。保健師に限って市町村職員採用試験の統一試験日(7月12日)の1週間前の7月5日に試験を実施して受験者の確保を図る。年齢制限も30歳から35歳まで(誕生日が昭和60年4月2日以降)に引き上げる。

 受験の申し込みは今月22日まで。郵送は当日消印有効。20日にビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使った採用説明会を行う。参加申し込みはメールで18日まで受け付ける。問い合わせは市人事課(077・528・2711)。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ