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【ビブリオエッセー】破天荒な天才女医 「天久鷹央の推理カルテ」シリーズ 知念実希人(新潮文庫)

 目の前の人を救うか、目に見えぬ多くの人たちを救うか-。人のためになりたいと思いながらも人と関わることが苦手な私は、医者と理系の研究者という二つの夢の中で、後者を選んだ。

 主人公・天久鷹央(あめく・たかお)は私のもう一つの夢だった女医さんだ。27歳だが中高生ぐらいに見える小柄で華奢な体にネコを彷彿させる大きな目を持つ、人づきあいの苦手な天才診断医。膨大な知識と、その知識を瞬時に取り出し使いこなせるとてつもない能力を持っている。

 肩書は天医会総合病院の副院長にして統括診断部長。とはいえ一人ではその才能も発揮できない。唯一の部下である二歳年上の見習い診断医、小鳥遊優(たかなし・ゆう)が鷹央と彼女を取り巻く人々の懸け橋となり、数々の不可思議な病気や難事件を解明していく。著者も現役医師だけに医学的な情報も豊富だ。ちなみに小鳥遊は名前に似合わぬ大柄な男性医師だが、鷹央からは「小鳥(ことり)!」と呼び捨てにされている。

 鷹央のように驚異的な頭脳の持ち主にはなれないが、彼女の自信や行動力と、ほんの少しの情報も見逃さない観察力は私を大いに刺激し、こんな人になりたいと思わせる。言葉づかいを気にせず空気が読めず、人づきあいが下手、という短所も目立つが事件を解決していくごとに成長し、少しずつ変わっていく。

 それは小鳥遊が鷹央の短所を包み込み長所を伸ばせるようにしてくれる温かい人柄だからこそ。小鳥遊の存在がメディカルミステリーに心地よい風を吹き込む。この二人に会いたくて、私は書店に立ち寄ると、遺伝子にプログラムされた行動のように天久鷹央の「推理カルテ」シリーズを探してしまうのだ。

 千葉県船橋市 草柳世奈22

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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