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【ビブリオエッセー】戦う「二代目」の経営哲学 「カップヌードルをぶっつぶせ!」安藤宏基(中公文庫)

 日清食品の創業者、安藤百福氏の次男で日清食品ホールディングスCEO、安藤宏基氏の著書を読んだ。経営を受け継いだ二代目が自らの歩みを語り、その経営哲学、マーケティング戦略を綴った本だ。百福氏の生涯に興味をもち、池田のカップヌードルミュージアムには何度も行った。朝ドラ『まんぷく』も欠かさず見たので二代目がどんな人物か、関心があった。

 開発途上における創業者の失敗談は常のことである。毎日、欠陥の試作品の山に埋もれて頭を抱える百福氏と家族。宏基氏は創業者の試行錯誤を見て育った門前の小僧だ。特製容器の開発や乾燥麺を効率的に収めるアイデア、海外戦略など成功に至る苦難の道は熟知している。自分の代になり、マーケティング嫌いの創業者に現代経営を語るが納得してもらえない。親子の確執が描かれる前半。サブタイトルの通り、「創業者を激怒させた二代目社長」なのだ。

 後半は現状に触れ、内容が一変する。今やカップヌードルは400億食を超える世界のトップブランドだがライバル企業との熾烈な戦いを勝たねばならない。1990年、宏基氏は自社の中に競争相手をつくるブランド・マネージャー制度を発足させた。カニバリ(共食い)も辞さない経営。乗り越えるべきはカップヌードルに代表される成功体験であり、のっけから驚いたタイトルの本質がここにある。

 抵抗も多かったようだ。手間も費用も時間もかかる。しかし、社内改革こそが業界の頂点に君臨し続ける所以でもあった。さらに社内競争の新手を導入したことも記されている。改めて百福氏の偉業と次代の経営者に敬服する。

 今この瞬間も世界のどこかで誰かがカップヌードルを食べようと3分間待っている。

 大阪府高槻市 坂本真司83

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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