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ズームでワイナリー見学会 各国首脳をうならせた大阪ワイン

 昨年、大阪で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、各国首脳にふるまわれ注目された大阪ワインの生産者の挑戦が続いている。売り上げはG20後に急増したものの、今は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けて激減。すさまじい逆風が吹く中、これまでも品種改良などで魅力を高めてきた生産者たちは、インターネットを使った見学会を始めるなど、あの手この手の新たな試みで世界にワインを届けることをあきらめない。   (大島直之)

ズームで試飲会

 大阪府柏原市のなだらかな丘陵地に広がるブドウ畑で100年以上、ワイン醸造を続けてきた「カタシモワイナリー」は、緊急事態宣言が解除されたことを受けて、春から控えていた見学会を6月から再開する。密閉、密集、密接の3密を避けるため、従来コースだった工場などの室内はできるだけ避け、試飲会はブドウ畑の真ん中で開く。運営会社、カタシモワインフードの高井利洋社長は「まずは地道に個人客を呼び込みたい。試行錯誤しながら、われわれも新たなワイナリー、ワインの魅力の伝え方を探っていく」と意気込む。

カタシモワイナリーの樽貯蔵場=柏原市
カタシモワイナリーの樽貯蔵場=柏原市
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 高井さんが会長を務める府内7つのワイン生産者が集う大阪ワイナリー協会も6月から、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使った試飲会「お家de楽しむワイナリー見学ツアー」を開く。参加費は5500円。参加者には事前にワイナリーから2~3本のワインが送付され、試飲会当日はそのワインを飲みながらワイナリー代表らの話をインターネット越しに聞く。第1回は7日に開催予定で、高井さんが講師を務める。定員15人だったが予約はすぐに満員に。今後も継続して開催する予定だ。

G20が潮目に

 河内地方は雨量が少ない気候に加え、斜面の多い土地は水はけが良いことから古くからブドウの栽培が盛んだった。昭和初期には全国1位の栽培面積を誇り、最盛期には100軒以上の醸造所があった。ところが近年は輸入ワインや国内産でも山梨・甲州ワインの人気に押され続けてきた。「地元大阪の飲食店にも置いてもらえず、悔しい思いばかりをしてきた」と高井さんは振り返る。

 しかし、生産者はあきらめなかった。大阪で栽培される「デラウェア」などの品種は一般的にはワイン作りには不向きとされるが、各社は栽培から醸造まで工夫をこらした。無農薬、有機農法に挑戦するワイナリーもある。地道にファンを増やそうと、20年ほど前から見学会や試飲会も重ねた。都心部から1時間弱で訪問できるワイナリーは世界的にも少なく、ブドウ畑やワイナリー見学と試飲会を組み合わせて、口コミでファンを増やしていった。

カタシモワイナリーのブドウ畑=柏原市
カタシモワイナリーのブドウ畑=柏原市
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 そして昨年のG20をきっかけに風向きが大きく変わった。かつては見向きもしてくれなかった飲食店やレストラン、百貨店から「ぜひうちにも置かせてほしい」と引き合いが相次ぐようになった。

 カタシモワイナリーもG20が開催された昨年6月末以降、年末にかけて前年比で20~30%増の売り上げで推移した。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて勢いはいきなりストップ。各地の飲食店が休業要請を受けたことで業務用の出荷は止まり、営業を続けていた直売所の客足も5月いっぱいまで止まった。「G20以降、大阪ワインのステージが変わったと感じていた。直後のコロナショック。ギャップに驚いている」と高井さん。だが、6月に入ってようやく見学会再開のめどもついた。知名度を高めるために地道に口コミを広げていった原点に回帰する。

ワインを熟成するように

 羽曳野市駒ケ谷のブドウ畑の山あいにあるワイナリー、河内ワインが運営する「河内ワイン館」も、昨年は5万人の来館者を迎える盛況ぶりだったのが、コロナ禍で一転した。デラウェアやシャルドネを栽培する約1ヘクタールもの農園やワイナリーの見学、試飲もできる予約制のレストランが人気だが、今年4、5月の売り上げは昨年から半減し、「リーマン・ショック、東日本大震災の後よりも大きなこれまで経験したことがない落ち込みだ」と金銅重行社長はうなだれる。

河内ワインが運営する「河内ワイン館」=羽曳野市
河内ワインが運営する「河内ワイン館」=羽曳野市
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 今、河内ワインはリピーターやファン拡大のための新たな店作りに取り組んでいる。個人客向けには家飲み用や年末年始のギフト用の商品を充実させて通販拡大を狙う。また、直売所にも少人数で対応できる見学コースや、食事コースを設けるなど観光客も少しずつ呼び戻したい考えだ。

 河内ワインの金銅社長は受注がピタリと止まった4月以降、以前より頻繁にブドウ畑に足を運ぶようになった。これまで経営面を中心に忙しい日々を過ごしたが、コロナ禍で空いた時間を4人の栽培担当者とともに畑作業をこなし、じっくり時間をかけてワインや自社の今後を考えている。

 金銅社長は「G20で大阪ワインの魅力が伝わり、ブランド力は上がった。今後はその盛り上がりを生かし、ファンを満足させられるワイナリー作りを追求したい」と話している。

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