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【脳を知る】「高次脳機能障害」記憶や失語…自覚ない場合も

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メモを見ることを習慣づけるのも必要
メモを見ることを習慣づけるのも必要

 若葉を渡る風が、さわやかな季節を運んでくれるような気がいたしますが、皆さま、体調はいかがでしょうか。

 今回は、高次脳機能障害についてお話しします。脳卒中や外傷などによる脳損傷では、手足の運動障害や感覚障害をイメージする方が多いと思います。

 しかしながら、脳が障害されると、手足の麻痺(まひ)以外に、記憶、注意、思考、情動などの認知機能障害が出現する場合があり、高次脳機能障害といいます。高次脳機能障害は、手足の運動障害などの身体機能障害と違い、周囲の人は気がつきにくく、本人すら自覚がないこともあります。

 高次脳機能障害には、脳の損傷部位によりいくつもの種類があります。

 (1)記憶障害…新しいことを覚えられない、または過去の記憶や知識を思い出せなくなる。

 (2)注意障害…集中力がなくなりミスが連発する、または同時に2つのことができない。

 (3)失語…言葉の理解ができなくなる、または言いたいことが言えない。

 (4)失認…視覚、聴覚、触覚に異常がみられないのに、対象を認識できない。

 (5)失行…簡単な動作や行為(服を着るなど)をすることができなくなる。

 (6)半側空間無視…見えているのに脳がその空間を認識しなくなり、あらゆる刺激(視覚、聴覚、触覚など)を認識できなくなる。

 (7)遂行機能障害…自分で計画をたてて物事を実行することができなくなる。

 (8)社会的行動障害…欲求・感情の抑制低下、コミュニケーション能力・意欲が低下し、行動や感情を状況にあわせてうまくコントロールすることができなくなる。

 上記のような症状が、1つだけでなく複数出現することもあります。また、症状の度合いもさまざまで、日常生活や社会生活に大きな影響がでる場合もあります。

 手足の運動障害と同様に、高次脳機能障害に対するリハビリテーションがあります。言語療法や作業療法という専門的なリハビリテーションが必要となります。

 リハビリテーションの目的は、ご家族や本人がこれらの障害をきちんと認識して、患者の置かれている環境を整えることで、日常生活や社会生活での障害を軽減することです。

 例えば、記憶障害では、メモを頻繁に取り、そのメモを見ることを習慣づけたりします。高次脳機能障害は、完全に治ることはまれです。本人、周りの方々が障害を正しく理解し、何ができて何ができないのかを知った上で、必要に応じてサポートを行うことが重要となります。(和歌山県立医科大学 脳神経外科講師 八子理恵)

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