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ラジオで癒やし 大津の地元FM局奮闘 「リスナーの気持ち、前向きに」

エフエム滋賀パーソナリティーの仙石幸一さん
エフエム滋賀パーソナリティーの仙石幸一さん
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、先行きに不安を感じる「コロナ疲れ」を訴える声に応えようと、滋賀県全域をエリアに持つ地域ラジオ局、エフエム滋賀(大津市)が奮闘している。感染防止のため、スタッフの出勤やゲスト出演の制限がある一方、リスナーの数は増え、休校中の子供など、新しいリスナー層も獲得。童話の読み聞かせやオリジナルの手洗いソングを放送するなど、テレビにも、新聞にもないリスナーと番組を作るラジオならではの強みや役割を模索している。(花輪理徳)

 ■揺れる制作現場

 アナウンサーやスタッフの感染が取り沙汰されたテレビ局と同様、影響はラジオの現場にも及んでいる。

 エフエム滋賀は感染拡大を受けて4月中旬以降、テレワーク(在宅勤務)を推進。約20人のスタッフが働く大津市内の本社も出勤しているのは5~6人。どうしても避けられないケースを除き、スタジオにゲストを呼ばない。パーソナリティーとのトークもタブレット端末ごしで行っている。

 最も深刻なのは「ネタ探し」だ。紹介するイベントは軒並み中止。外出自粛が叫ばれる中、“鉄板”ともいえる地域のおでかけ情報が放送できなくなった。

 ■読み聞かせ好評

 そんな困難な状況に置かれても、制作陣にはラジオマンとしての、メディアとしての社会的責任を示さなければいけないとの矜持(きょうじ)があった。「コロナ関連の情報はテレビや新聞で十分。ラジオは気持ちが前向きになる場であってほしい」。そんな思いから始まったコーナーが、休校中の子供向けに物語を読み聞かせる「お話の時間」だった。

 3~5分ほどの童話を元保育士のパーソナリティーが柔らかい声で音読する。読み上げる童話はあえて著作権が切れた古いものから選んでいるという。編成制作部の島原寛一リーダーは「マイナーな作品が多くて新鮮な上、古い日本語が美しいと評判です」と話す。

 4月上旬にいったん終了を迎えたが、「子供とラジオを聴く時間ができた。やめないで」などというメールが多く寄せられたことから、再開が決まった。

 4月上旬からはオリジナルの手洗いソングのCMも制作。「広く県民に定着を図りたい」(同部の糸井孝実部長)との狙いから、さまざまなバリエーションを展開し、1時間に1回程度流すことを目指している。

 ■共感と笑いに

 ラジオの醍醐味(だいごみ)はリスナーとのやりとりで番組が作り上げられていくことだ。

 4月24日午前、番組に一通のメッセージが届いた。「家にいる不満。言いたいけど、言う場所がない」。メッセージを受け取った女性パーソナリティーが「じゃあ、言っていこうよ。みんなも送ってきて」と呼び掛けると、数十通ものメールが寄せられた。台本ではなく、パーソナリティーの思い付きで即席のリスナーとの交流企画が始まった。

 寄せられたメッセージの多くは子供や夫と家に居続けるストレスやしゅうとめへの不満だった。糸井部長は「文字で読むと、かなりきつい印象を感じたが、パーソナリティーの話し方で共感と笑いに変えられる。これが肉声の、ラジオの力だと思う」と胸を張る。

 共有できるのは、悩みや愚痴だけではない。島原リーダーは「パーソナリティーも生活者。こういう生活の中だからこそ、どういう面白い話があるのか、リスナーと同じ目線で共有しながら、面白いラジオを作っていきたい」と強調する。

 コロナ禍を機に、改めて役割が見直されつつあるラジオ。「コロナの影響と思うと複雑だが、リスナーは増えている」(糸井部長)といい、休校が始まって以降は中高生など新たなリスナー層からの投稿も目立つ。糸井部長は「テレビやネットにはない、ラジオの魅力を知ってもらいたい」と期待を寄せている。

    ◇

 コロナ禍が長期化する中で、ラジオはどのような役割を果たすべきか。エフエム滋賀で日々、リスナーと向き合っているパーソナリティーの仙石幸一さん(43)に聞いた。

 --感染拡大が続く現在の状況をどう感じるか

 「男子プロバスケットボールのBリーグ関連の仕事をしているので、リーグが中断した2月後半ごろから、『あれ、もしかしてこれ大変なことになるかもしれない』と感じた。自動車で通勤していても、外出自粛の影響か、交通量が普段とは全然違うと感じる」

 --リスナーの反応は

 「17歳の運動部の子供から『いつもなら、大型連休は部活で遠征に行く。今年は行けないし、インターハイもなくなったので、自分のゴールがないという感じになっていて残念です』という内容のメールが番組に届いた。普段なら平日昼の時間帯に学生がメッセージを送るのは難しい。こういう時だからこそ聞いていてくれているのかと思う」

 --ラジオを通じてリスナーに届けたいことは

 「情報を届けるというよりも、共有をしていきたいなと。リスナーから『家庭ではこういうことやってます』って来たら、『それいいですね』って共有していければいい。新型コロナウイルスとの長期戦を乗り切るためのツールとして情報のハブ(結節点)になれたらと考えている。ラジオは打てば返ってくるメディア。気になったことがあれば投げかけてほしい」

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