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【NEWS Why? ニュースを知りたい】新型コロナワクチン見通し「最短で1年」も

 新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、世界中の研究機関や企業がワクチン開発を急いでいる。治療薬とともに国民の命を守る“救世主”として期待がかかるが、実用化には副作用の検証など多くの段階を踏む必要がある。新型に対抗するワクチンはどう作られ、いつごろ実用化されるのか。課題を探った。(有年由貴子)

ワクチンとは

 新型コロナウイルスのワクチン開発の時期について、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は27日の記者会見で、「最低でも12カ月から18カ月はかかる」とし、「国際協力で最も重要な分野の一つは研究開発だ」と訴えた。

 新型をめぐっては、米衛生当局などが人工遺伝子を使ったワクチンの臨床試験を始めたほか、国内でも国立感染症研究所や大学などで開発が進められている。

 一般に、ウイルスに感染すると、体内で病原体に対抗するタンパク質「抗体」が作られる。これによって、防御システムである「免疫」が構築され、この免疫の記憶が残ることで、次に同じウイルスが体内に侵入した際の抵抗力となる。この免疫システムを利用するのがワクチンだ。

 ワクチンはウイルスなどの病原体を無毒化、または病原性を弱めて作製する。ワクチンをあらかじめ接種しておくことで体内に免疫ができ、個人の感染を予防するだけでなく、集団での接種率を高めれば感染症の蔓(まん)延(えん)を防ぐ効果も期待される。

2手法でアプローチ

 「新型についてさまざまな手法で開発を試みている」。大阪大微生物病研究所(微研)前所長の松浦善治教授(ウイルス学)はこう話す。

 微研では、患者から採取したり人工合成したりしたウイルスを動物細胞などに感染させて増やし無毒化する「不活化ワクチン」と、ウイルスに似た粒子を用いる「VLPワクチン」の2手法を採用している。

 ワクチン開発にはどのくらいの時間が必要なのか。

 「1つのワクチン開発には10年前後かかる」と語るのは、阪大発ベンチャーで国内最多のヒト用ワクチンを製造する「阪大微生物病研究会」の担当者。

 一般に、ワクチン開発は、基礎研究から動物モデルを使った検証までに6年程度、臨床試験で人を対象とした安全性や有効性の確認に3~7年をかけ、医薬品として認可されるのが大まかな流れという。

 新型の場合はどうか。

 松浦氏は「今回は緊急性が高いため、初期の臨床試験で副作用がないことが確認できれば特例で政府に承認される可能性はある。ただ、その場合でも人に投与できるようになるには最短1年はかかるだろう」と推測する。

万能ではない

 とはいえ課題は多い。

 ワクチンは、ウイルスによっては効果が不十分だったり、有害反応が生じたりする場合があるのだ。

 接種後に別型のウイルスに感染すると重症化してしまうものもあり、新型と遺伝情報が似ているほかの動物のコロナウイルスでも同様の現象が確認されている。そのためワクチン開発には慎重さが求められる。

 さらに、呼吸器系の疾病の発症を完全に防ぐワクチンは開発が難しいとされる。既存のワクチンの場合も、呼吸器感染症を引き起こすインフルエンザウイルスのワクチンは病態は改善されるが感染を阻止することはできない。ワクチンは万能ではないのだ。

 松浦氏は「ワクチンは作れば必ず効くというものではない。安全性を慎重に検証するとともに、どんな病原性ウイルスが現れても対応できるよう新興感染症研究への国家的な備えを進めておくべきだ」と指摘している。

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