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【ビブリオエッセー】みんなが向き合う課題がここに 「十字架」重松清(講談社文庫)

 多くの人に読んでもらいたい一冊がある。重松清さんの『十字架』という本だ。

 いじめを苦に自殺した同級生の男子が遺書の中で主人公の「僕」のことを「親友」と書いていた。しかし、「僕」はいじめを知りながら、見て見ぬふりをしていただけだった。なぜ「僕」の名が…。この本は、その主人公が後悔という十字架を背負って生きていく小説だ。

 私はこの本をまず両親に勧めた。映画化もされており、友人には映画を見るよう勧めた。しかし、両親は重すぎてしんどいと途中で読むのをやめ、友人も同じことを言った。実は私も読み終わったあとモヤモヤしてボーっとしてしまうことが多かった。映画化を知ったのも最近で、友人と一緒に観たが、やはり何とも言えない苦さが残った。

 けれど今、「〇〇県〇〇市内の中学で起きたいじめが原因とみられる自殺事件に…」と聞いても、どこのニュースだったか忘れてしまうぐらいいじめとみられる自殺は多い。実際、十代の自殺件数は増えているらしい。

 主人公の「僕」は遺族とのいたたまれないやりとりを繰り返し、大人になってゆく。この本はフィクションだが重い「物語」で終わるのではなく、いつ自分や身近な人に起きてもおかしくないのだと、真剣に受け止められるようになるべきだと思う。

 最近は教師が教師をいじめていたというニュースもあった。私も教師をめざしているが、子供の世界に限った話ではない。みんながさまざまな立場からいじめに向き合い、何ができるか、考えなければいけない。

 堺市西区 嵐菜乃花 20

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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