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800分の1を勝ち取った傘メーカーの生き残り戦略

“和洋折衷”が魅力という「蛇の目洋傘」=福井市の福井洋傘
“和洋折衷”が魅力という「蛇の目洋傘」=福井市の福井洋傘
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 かつては国産が主流だった傘。国内で多くの関連メーカーが存在し、北陸地方だけでも約800軒あったという。だが現在、北陸で存続するのは福井市の「福井洋傘」の1社だけ。安価な海外生産品が台頭し、ビニール傘が普及するという逆風の中で生き残りに成功した背景には、あえて「高級」にかじを切った戦略があった。

鯖江眼鏡の技術

 福井洋傘の主力商品は「蛇の目洋傘」。骨を24本設けることで伝統の蛇の目傘の雰囲気を持たせた“和洋折衷”の傘だ。企画開発部係長の中路翔馬さんは「随所に福井の技術が詰まっている」と紹介する。

 傘の骨組みはスチール合金とカーボンの2種類。眼鏡フレームの金属加工などの技術を活用している。眼鏡フレームの生産量日本一は福井県鯖江市。そこで培われたものだ。

 布地はポリエステル製だが、繊維業が地場産業として根付く福井の技術を生かし、紬(つむぎ)の風合いを再現。傘の持ち手「手元」と先端部分の「石突き」は、福井の伝統工芸、越前漆器の本漆で仕上げている。

工場で仕上げ作業を待つ傘=福井市の福井洋傘
工場で仕上げ作業を待つ傘=福井市の福井洋傘
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 価格はスチール合金製58センチの骨組みで、3万6300円(税込み)から。布地に撥水(はっすい)性に優れた高密度ポリエステルを用いた「ヌレンザ」は3万8500円(同)から。素材を厳選した日傘や晴雨兼用などもあり、商品の平均単価は4万円台。いずれも高級品だ。最高額は鹿児島県・奄美大島の伝統工芸、大島紬を使った傘で180万円以上になる。

ビニール傘の普及

 一般的に傘1本につき40~50個の部品があり、布、金属、樹脂と扱う素材も多岐にわたる。このため、洋傘が浸透し国産化が進んだ明治以降、各地で工程ごとの専業メーカーが生まれた。福井洋傘もその一つだった。

 昭和47年創業。傘製造の下請けメーカーとして始まった。だが、昭和が終わりに近づくにつれ、安価な海外生産品が台頭し、ビニール傘も普及。周りの工場は次々に廃業した。

 そうした中、平成の初めに下請けから脱却し、オリジナル製品の製造、販売に乗り出した。地元・福井のアピールも兼ねる狙いを込め、地場産業や伝統工芸の技術の粋を集め、品質や性能にこだわった傘を手作業を中心に仕上げた。高額になるのは当然だったが、海外製の安い商品と大きく差別化が図られた。

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