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クラスター連鎖の可能性 大阪のライブハウスで何が起きたのか

 大阪市内の2つのライブハウスで、新型コロナウイルスの小規模な集団感染「クラスター」が発生した可能性が高まっている。大阪府は国との合同調査を進め、感染経路や今後リスクが高いエリアを推定し、さらなる拡大を封じ込めたい考えで、双方のライブハウスに滞在していた人が引き金になった可能性があるとみている。“連鎖”はなぜ起きたのか。

「ライブハウス、窓はない」

 2月15日夜、大阪市都島区のライブハウス「Arc(アーク)」は約120人の観客でにぎわっていた。

 この日のコンサートは午後6時半から9時ごろまで開かれ、4人組ロックバンドなど4組が出演。観客は音楽に合わせて歌を口ずさんだり、拳を天井に突き上げたりした。翌16日は前日のアーティストら約10人が出演し、約100人が集まった。会場は身動きが取れないほどの「密閉空間」だったという。

 昨年10月にArcのコンサートに客として参加した大阪市の会社役員の男性(46)によると、客席は出入り口から階段で少し下りた場所で窓はない。

 男性は「広さは20畳くらい。スタンディング(立ったまま)なら100人くらい入る。客同士の距離はかなり近く、感染者がいれば飛沫(ひまつ)感染するだろう。新型コロナウイルスによってライブハウスの印象が悪くなったのは残念」と話した。

 そのArcでクラスターの可能性が強まったのは、2月29日。この日感染が確認された高知市の30代女性だけでなく、すでに感染した大阪市と大阪府の40代男性2人がArcを訪れたことが判明した。吉村洋文知事は「15日の会場で感染は広がっている」と危機感を示した。

 大阪府は翌1日、厚生労働省に国立感染症研究所の専門家らによる「クラスター対策班」の派遣を要請。2日からArc訪問者らについて、大阪市保健所で国との合同調査を始めた。

調査でつかんだ接点

 クラスターの連鎖を封じ込めるには発生の端緒を早期に把握し、対策を講じることがカギになる。感染者に自覚症状がないまま行動し、感染を広げる危険性があるためだ。

 地方独立行政法人「大阪健康安全基盤研究所」の奥野良信理事長は「閉鎖された狭い空間に、感染者を含む不特定多数の人が集まるとクラスターが発生する。そうした環境を作らないことだ」と指摘する。

 全国の保健所から報告を受ける調査チームは、感染経路を時系列でまとめたチャート図や感染者ごとの症状の推移に関する一覧表を作成。感染した訪問者の容体や接触歴に関する疫学調査に活用した。また接触者の健康状態を確認し、新たなクラスターの発生を防ぐことも重視した。

 疫学調査を進める中で、調査チームはArcと北区のライブハウス「Soap opera classics-Umeda-」の“接点”をつかんだ。

 Arc訪問者と接触し、2日に感染が判明した大阪市内の50代男性への聞き取りで、この男性が2月19、23両日にSoap-を訪問していたことを把握。その後もほかの同店の訪問者に相次ぎ感染が確認されたため、Soap-でも新たにクラスター発生の可能性が高いと判断し、今月4日に公表した。

 ここで確認された感染者のうち、大阪市の30代男性はArcにも滞在していたことが判明。5日午後9時現在、Arcで17人、Soap-で4人の感染が確認された(重複含む)。

 東北大大学院の押谷仁教授(ウイルス学)は「30代男性の感染力が強ければ、Arcと同様に、(Soap-でも)集団感染が起こる可能性があるので、周辺の人の健康状態をしっかり確認することが重要だ」と話す。

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