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【四半世紀の歩み 震災25年】(下)「息子夫婦の贈り物」遺族つなぐ文通の輪

 また、震災から5年後の平成12年には、「息子夫婦が生きた証」として、亡くなったアパート近くの公園に樹齢5年のソメイヨシノを植えた。朝子さん夫婦はこの年から遺族たちを花見に招き、語り合いの場を作ってきた。直径約10センチだった幹は、今では50センチほどの太さになり、満開の桜が咲き誇る。朝子さんは夫の悦男さん(87)とともに、「この出会いは息子夫婦からの贈り物」と目を細める。

  ×  ×  ×

 《トマトがとてもおいしい季節です。学校から帰ると、冷えたトマトを丸かぶりしていた姿が目に浮かびます。大好きだったね》

 《突然に奪われつらい思いばかりさせてしまったと悔やまれてなりません。本当にごめんね》

 伸也さんが亡くなってから、月命日には欠かさず伸也さんに向けて手紙を書いてきた。伸也さんとの思い出や好物のトマトの話。胸が締め付けられることもあったが、そのたびに傷を共有する仲間たちに支えられてきた。

 丸25年となる17日にも、白い便箋に思いをつづるつもりだ。「《いくつものすてきな縁をありがとう》って書こうかしら」。そう朝子さんはほほえんだ。

(中井芳野)

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