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【ビブリオエッセー】揺れ動く若者の心情に共感 『進撃の巨人』諫山創(講談社)

 『進撃の巨人』という大ヒット漫画のことをもちろん知ってはいたが、実はつい最近まで読んだことがなかった。人が巨人に食われるという不気味な設定に嫌悪感さえ抱いていた。しかし、友人に熱く薦められ、読んでみると-。

 舞台は人類と人を食う巨人たちが存在する終末的世界。滅亡寸前だった人類は50メートルもの巨大な壁を築き、巨人の侵入を防いで生活してきた。壁の内側には安全な生活があったが、ある日、超大型の巨人が壁を突破する。

 人類は巨人を倒すため調査兵団を結成。しかし主人公の少年エレンは侵入してきた巨人に母を食べられてしまう。エレンは自身の弱さを悔やみ、復讐を決意する。調査兵団に入り、巨人との戦いや、多くの難題に直面し、やがて巨人誕生の謎やこの世界の真意に迫っていく。

 気がつくと展開が読めない物語にすっかり引き込まれていた。残酷な世界観にはスリルがあり、それ以上に読みながら不安や焦燥や衝撃を感じた。揺れ動く若き団員たちの心情には共感を覚える。非現実的な世界だが、描かれているのは私たちと同じように悩んだり冒険に憧れたりする普通の人間たちだったから。

 エレンや仲間たち、裏切り者ですらも、信念に従って覚悟を決め、戦っていた。その姿を見て、時折、熱いものがこみ上げてくる。

 彼らのように情熱的に生きたい。不思議と勇気づけられる作品なのだ。もう一度、やりたかったことや熱中していたことに挑戦し、ささやかだが自分の世界を変えていこうと、決心した。

 大阪府門真市 I・N 25     ◇

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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