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【河村直哉の時事論】死者を保ち守る 阪神大震災25年

 バークは、急激に社会を変革するフランス革命を徹底的に批判した。バークは革命が規律や習慣、道徳観念の破壊にまで及んでいると見た。性急な改革に距離を取り、過去との対話や中庸を重んじる保守思想が誕生する。では、過去とは何か。バークは国家を共同事業とみなし、こう書いている。

 「それは単に生きている人々の間のみならず、現に生きている者とすでに死去した者や今後生まれる者との間の共同事業となる」(「フランス革命についての省察」)

 過去とは、死者のことなのである。習慣や道徳も含めて死者が残した財産、あるいは死者の遺志であるといってよい。同じイギリスのギルバート・キース・チェスタトンは「死者の民主主義」という言葉を使った。

 「伝統とは、あらゆる階級のうちもっとも陽の目を見ぬ階級、われらが祖先に投票権を与えることを意味するのである。死者の民主主義なのだ。単にたまたま今生きて動いているというだけで、今の人間が投票権を独占するなどということは、生者の傲慢な寡頭政治以外の何物でもない」(「正統とは何か」)

 いま保守というと、歴史や伝統を重視する立場と一般的には思われているようである。それは確かにそうなのだが、根底にはこの、死者を保ち守るという姿勢があるべきだろうと筆者は思っている。

■過去への追悼

 こう見てくると、さらに立ち上がってくる死者たちの姿がある。あの戦争に命を捧(ささ)げた、あるいは、犠牲になった死者たちである。

 阪神大震災は、くしくも戦後50年の節目の年に起こった。社会党の村山富市首相は終戦の日、戦後50年談話、いわゆる村山談話を出した。

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