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【瓦礫の教えはいま 震災25年】(4)完 「その後」の備え、事前復興計画 住民視点反映できるか

 しかし、国土交通省が全国の都道府県と市区町村を対象に行った28年度の調査で、事前復興の準備が「十分・ある程度できている」と答えたのはわずか5%。検討時間が確保できない、取り組みの優先度が低い-などが課題とされたことから、同省は30年度に準備を促すガイドラインを策定したが、今年度の調査でも53%が「検討していない」と回答している。

 ■住民視点、法制化を

 事前復興に二の足を踏む自治体が多い中、住民主体で計画を進めている地域もある。そのひとつが徳島県美波町の由岐湾内地区だ。

 南海トラフ巨大地震では9割の地域で浸水被害が想定されている。被災を恐れ子育て世帯などが流出する「震災前過疎」に危機感を募らせた住民らが動き出したのは東日本大震災後の24年のことだった。

 当時大学院生だった徳島大・人と地域共創センター学術研究員の井若和久さん(35)を中心に、事前復興の理解を深める勉強会や子育て世帯が住み続けられる高台住宅地の開発案のコンペを実施。自然環境や地域愛を重視した土地利用を行う事前復興のまちづくり案を28年に作り上げた。

 「住民の思いを反映したものができた」と井若さん。しかし、住宅地整備など具体的な次のステージに動き出すことができない現状に歯がゆい思いも抱く。

 事前復興は法律上作成を義務づけられた法定計画や制度ではなく、活用できる国の予算補助などもほぼない。「計画があっても準備が進まなければ、住民のモチベーションが下がり、諦めにつながりかねない」と井若さんは危惧する。

 近畿弁護士会連合会として昨年、国などに事前復興の制度化などを求める提言をまとめた津久井進弁護士(兵庫県弁護士会)は、多発する災害を踏まえ「事前復興の必要性は増している」と指摘。「住民の意見を反映するための十分な情報公開や、策定を進めるための法的な位置づけと予算措置が必要だ」と訴えている。

=おわり

 この連載は有年由貴子、井上浩平、桑村朋、杉侑里香が担当しました。

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