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【ビブリオエッセー】思いやりとくじけない心 「世界名作ファンタジー『母をたずねて』」文・絵 平田昭吾(ポプラ社)

 昔、テレビアニメで放映された『母をたずねて三千里』を夢中で見て、よく泣いていました。大人になり母親となって、子供に読み聞かせようと絵本を買いました。保育園年長のころで、朗読しているとウルっとしそうになりました。子供も「すっごく感動したよ」と言ってくれました。

 家が貧しく、家族が食べてゆけなかったため母親は遠い国へ働きに行きます。初めは届いていた母からの手紙が一年ほどで来なくなりました。9歳のマルコは一人でイタリアのジェノバからアルゼンチンまで母を捜す旅に出ます。

 が、アルゼンチンに母はおらず、コルドバに向かいます。途中で舟に乗るお金がなくなり、働くことに。懸命に仕事をしました。そしてコルドバまで行ったものの、そこにも母の姿はなく、遠いツクマンにいると知りました。

 靴が破れて足から出血、食べ物も水もなくなります。でも、会いたい一心でマルコは歩き続け、ようやく母のもとへ。だが、母は重い病気で寝たきりでした。マルコの必死の祈りと付きっ切りの看病でついに目を覚まします。「マルコ」「母さん」。感動の再会シーンは何度見てもジーンときます。

 旅の中でマルコはさまざまな人と出会い、親切に支えられました。そのやさしさとマルコの母を思う気持ちに胸を打たれる一冊。それでも子供のころと大人になってからでは受け止め方が変わります。子供の時はマルコ目線で、大人になれば母親目線で。

 こんなに幼いのに必死で働き、何があってもくじけない姿に、強く心を打たれます。自分もマルコのような思いやりと、くじけない強い精神力を身につけたいものです。

 奈良市 さとみょん 44

【ビブリオ・エッセー募集要項】

本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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