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【寅さん50年 男はつらいよを読む-吉村英夫】(38)ベストテン考(下)

『知床慕情』封切りあいさつで、来場者にかき氷をふるまう、前列左から竹下景子、淡路恵子、三船敏郎。後列は山田洋次監督(左)と渥美清=東京・新宿、昭和53年8月15日
『知床慕情』封切りあいさつで、来場者にかき氷をふるまう、前列左から竹下景子、淡路恵子、三船敏郎。後列は山田洋次監督(左)と渥美清=東京・新宿、昭和53年8月15日
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 筆者が選んだ『男はつらいよ』ベスト10のうち4~10位の魅力を紹介しよう。

 第4位は寅次郎と意気投合した獣医(三船敏郎)とスナックのママ(淡路恵子)の老年の恋に光を当てた『知床慕情』。人生百年時代を迎えた今、先見性を評価したい。老いをマイナス視点で描かず、可能性を見つめ直している。

 ちなみに淡路は若き日の三船の主演作品『野良犬』(黒澤明監督)でデビューした。また『知床慕情』で2人を取り巻く仲間の1人を演じる油井昌由樹は、晩年の黒澤映画に抜擢(ばってき)された俳優。本作は黒澤へのオマージュ的な一面も持つ。

 第5位『望郷篇』のテーマは「フーテンと労働」。汗と油まみれの労働を志した寅の行き着いた先を、豆腐屋の「油揚げ」作りにしたのは喜劇的発想として秀逸。旧式D51型(通称デゴイチ)の機関士が描かれ、労働賛歌にもなっている。機関車好きの山田洋次監督、カメラマン高羽哲夫のコンビならでは。また、寅の痛烈な失恋に初期シリーズの乾いた叙情が生きていて、なかなかのもの。

 第6位『口笛を吹く寅次郎』は、寅に僧衣を着せ、法話に啖呵(たんか)売を混ぜ合わせるといった発想の妙で、シリーズ後半作品の中では最も笑いが弾ける。マドンナ朋子(竹下景子)の愛を受けとめられない寅の哀しさ、柴又駅での2人の別れを見つめるさくら(倍賞千恵子)にも涙してしまう。

 第7位は『葛飾立志篇』。無学な寅が、考古学の権威(小林桂樹)と向き合って愛について説諭するのに拍手喝采。受けとめる学者先生の度量の広さにも敬意を払いたい。心をハダカにすれば人間みんな一緒、というのが自然体で描けている。

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