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【夜間中学はいま】(16)15歳の学習ボランティア 自身の学びも前向きに

 見学では、中学生でも学習ボランティアができると知った。ためらいもあったが、母親から「せっかくの機会だから」と背中を押され、夏休みを使って参加することにした。

 最初はベテランの小学校教諭の補助につき、慣れると小学生レベルの勉強を教えるように。自分のおばあちゃんよりも年上の生徒に分数を教えたところ、「習ったことを忘れたくないから、宿題を出してください」と言われ、衝撃を受けた。

 学びへの情熱を目の当たりにして「こんな勉強、何の役に立つの」と嫌々宿題をしていた自分との違いに恥ずかしくなった。

 高齢の生徒には、戦争や貧困の影響で「勉強したくてもできなかった」と悔やむ人が多い。直接、体験談を聞いたことで、当たり前に勉強ができる恵まれた時代に生きていながら、学ぶ機会から逃げようとしていたのではないか、と思うようになった。

 こうした体験を、夏休みの宿題の人権作文にまとめた。夜間中学での出来事を記録したデータを読み返し、文章の順番を考え、推敲(すいこう)を重ねて仕上げた。「人権は身近なもの」と伝えるため、生徒から聞いたエピソードも盛り込んだ。

 教育を受ける権利は保障されているはずなのに、現実には「十分な教育が受けられず、劣悪な状況に追いやられて生きている人たちがいる」と指摘。「学びを求めている人たちに、もっと『教育の機会』を届けたい」と訴えた。

 「学ぶことは生きること」と題したこの作文は「第38回全国中学生人権作文コンテスト」(法務省など主催)で最高賞にあたる内閣総理大臣賞に選ばれた。世間ではあまり存在が知られていない自主夜間中学に焦点をあてた作文として高い評価を受けただけでなく、生徒たちからも「書いてくれてありがとう」と感謝された。

 中学では吹奏楽部に入り、熱心に練習に励んでいる小西さん。学習ボランティアはその合間を縫って続けている。小西さんには「先生になる」という将来の夢がある。小学生のころ出会った先生のように、一人一人の長所を伸ばそうとする先生になりたい。

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