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【脳を知る】ラグビーW杯でも見られた頭部打撲の退出 スポーツと脳しんとう、選手の安全が第一 

 ラグビーワールドカップ、日本選手の活躍に大いに盛り上がった方も多いと思います。

 私もその一人でしたが、テレビ中継を見ていると、審判が頭部打撲を負った選手に即座に退出を命じていた場面を多く見かけました。脳しんとうの疑いのある選手を10分間退出させ、その間に脳しんとうの有無を確認するというルールです。

 ここで脳しんとうではないと判断された場合は試合に復帰できますが、脳しんとうが少しでも疑われた場合、そのまま退場となります。具体的には、ぼんやりする、頭痛がある、ふらつくなどの症状があれば退場ですし、このような症状がなくても、「自分のチーム名」「今いる競技場の名前」「今前半か、後半か」などの質問に答えられない場合は、プレー続行不可能と判断されます。

 その後、医師により正式に脳しんとうと診断されれば3週間競技できません。今回のワールドカップでも、ニュージーランドの主力選手が、開催直前の練習試合で脳しんとうを起こし、ワールドカップに出場できなくなりました。「私の生命を第一に配慮していただきました」と、その選手も納得しています。

 ワールドカップの参加選手、コーチの全員が脳しんとうに対する知識を学ぶプログラムを受けており、このルールを理解しています。

 ラグビーだけでなく、ボクシング、柔道、アメリカンフットボール、サッカーなどスポーツ中の接触プレーや転倒による頭部打撲はしばしばあります。野球ではボールが頭部を直撃することがあります。

 スポーツによる頭部打撲の特徴は、脳しんとうを起こしやすいことです。脳しんとうは、頭部への衝撃による一時的な脳機能障害をいい、健忘、頭痛、気分不良、ふらつき、反応の低下などを生じます。

 このような症状は多くは短時間で軽快しますが、3週間ほど長引くこともあります。脳しんとうと診断された場合、症状が消失するまでは競技復帰すべきではありません。脳しんとうのダメージが残っている間に再び脳しんとうを起こすと、脳が腫脹し重篤な状態になることがあるからです。

 選手が出場できないことはチームにさまざまな影響が出るかもしれませんが、その選手の人生はそこがゴールではありません。健康維持が目的のスポーツで健康を損なうのは本末転倒です。指導者、選手のご家族は選手の安全を第一に考えるべきです。

 これまでスポーツによる脳しんとうについて述べましたが、年齢問わず日常生活での頭部打撲でも脳しんとうを生じることがあります。今回述べたような頭痛、気分不良、ふらつき、ぼんやりしているなどの症状を伴う頭部打撲は脳しんとう、場合によってはそれよりも重い頭部外傷の可能性もあります。速やかに脳神経外科を受診してください。

(和歌山 公立那賀病院副院長 脳神経外科 藤田浩二)

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