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【一聞百見】東京に災害「予言書」首都崩壊…原発事故の記録、残さねば 作家・高嶋哲夫さん(70)

自宅マンションのベランダにたたずむ高嶋さん。背後の住宅街は阪神大震災で大きな被害を受けた =今日夏至垂水区(前川純一郎撮影)
自宅マンションのベランダにたたずむ高嶋さん。背後の住宅街は阪神大震災で大きな被害を受けた =今日夏至垂水区(前川純一郎撮影)
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 高嶋さんは新首都の条件に、自然災害がない、もしくは少ない▽位置的に日本の中程で、交通の便がよい▽防衛しやすい▽首都建設用の土地がある▽人の心を引きつける-をあげる。吉備高原は自然災害に関して過去にほとんど例がない。平成29年の日本地質学会学術大会では、地下20キロまで硬い一枚岩盤からなり地盤が極めて安定しているとの発表がなされた。北方四島から尖閣諸島まで日本全体を見るとほぼ中央に位置し、高原地帯で水害の心配は少ない。空港、新幹線も使え、省庁の建設用地は十分ある-とする。

 首都機能移転については首相の諮問機関が平成11年の答申で、移転候補地を栃木・福島地域と岐阜・愛知地域、交通網整備の条件付きで三重・畿央地域の3カ所としたが、その後議論は盛り上がらなかった。23年の東日本大震災では東京も被害を受け、再び取り沙汰されるようになったが、その後、沈静化している。高嶋さんは「首都直下型が起これば東京崩壊となる。移転議論は進めなくてはならない。岡山県は“晴れの国”といわれるように天候が安定し、地震や水害などの危険がきわめて少ないことを考えると、吉備高原は候補地としてすばらしい」と話す。

 ただ、『首都崩壊』を書くに当たり、最初から移転候補地を岡山としたわけではない。高嶋さんは「書いている途中、どこに首都を持ってくるか、を考えた。出身地ということもあるが、岡山を首都候補とした場合、実に条件がよいことに気づいたんです」。

 高嶋さんは米カリフォルニア大に留学、帰国してから、小説を書き始めた。

 「研究に煮詰まったような状況になって。留学先で知り合った日本人研究者のすすめもあって、小説の世界に入っていったんです」

 キャリアを高嶋さんは小説に生かしてきた。東日本大震災の6年前に発表した『TSUNAMI』では、大地震で発生した津波が日本の太平洋岸を襲い、原発も直撃。冷却ポンプが停止してメルトダウン(炉心溶融)寸前まで行く。東日本大震災での原発事故を事前に描いたような内容で「予言書」だったのではないかと、震災後にも改めて注目を集めた。

 「原発で利用しているのは核分裂で、私の研究は正反対の核融合。分野は違いますが、原発のメカニズムは分かる。それを小説の中には生かしてきました」

東京からの首都移転を描いた著書『首都崩壊』
東京からの首都移転を描いた著書『首都崩壊』
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 福島第一原発事故では、実際に現地を訪ねて調査した。多くの関係者からの聞き取りなどを基に、第一と同様にダメージを受けながら、冷温停止に成功してメルトダウンを防いだ福島第二原発を描いた『福島第二原発の奇跡』を出版した。「原子力に関係した者として、原発事故の記録は残していかなければと思っていました。阪神大震災では自ら被災した。そんな思いは創作の原動力にはなります」。高嶋さんはそう力を込める。

     ◇

 【プロフィル】高嶋哲夫(たかしま・てつお) 昭和24年7月、岡山県玉野市生まれ。神戸市在住。慶應義塾大学工学部卒業、同大学院修士課程修了。日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。核融合研究で日本原子力学会技術賞受賞(昭和54年)。平成11年に『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞。他に『都庁爆破!』『メルトダウン』『乱神』『首都感染』『富士山噴火』『日本核武装』など多数。『ミッドナイト・イーグル』は19年に映画化。ノンフィクションも多く、『福島第二原発の奇跡』ではエネルギーフォーラム賞優秀賞。

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