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【一聞百見】東京に災害「予言書」首都崩壊…原発事故の記録、残さねば 作家・高嶋哲夫さん(70)

「本当に怖いのは東京が被災地となることです」と話す高嶋さん =神戸市垂水区の仕事場(前川純一郎撮影)
「本当に怖いのは東京が被災地となることです」と話す高嶋さん =神戸市垂水区の仕事場(前川純一郎撮影)
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 巨大災害のたびに議論がわき上がる東京から地方への首都・首都機能移転。このところ、下火にはなっているが、1冊の小説がいま、注目を集めている。巨大地震の発生が迫る東京からの首都移転先を岡山県の吉備高原とした『首都崩壊』。今夏、岡山では相次いで首都移転に関するシンポジウムが開催され、作者の高嶋哲夫さんが登壇した。さまざまな災害をシミュレートしたパニック小説、そして原発を扱った作品などを次々と発表してきた高嶋さん。創作の原動力を聞くと、その根底には、24年前の阪神大震災の実体験と原子力研究者としての思いがあった。(聞き手 編集委員・上坂徹)

■被災も経験、元原子力機構の研究員…危機回避に首都機能移転を

 神戸市垂水区。六甲山系のすそに広がる高台のマンション、南側の窓からは瀬戸内海側に延びる住宅地がのぞく。その先は24年前の阪神大震災を引き起こした野島断層につながる。高嶋さんは震災をこのマンションで経験した。6434人の死者、全半壊家屋は約25万棟にも上った震災。

 高嶋さんは「このあたりの地盤が強固だったのでしょう。マンションの外壁に亀裂が入った程度で済みました。少し離れたところでは、建物の倒壊や火事で多くの犠牲者を出していた。水道やガスなどのインフラは3カ月にわたってストップし、生活そのものには苦しみました。水は近くの井戸からくんできたものを使っていました」。

 震災前年の平成6(1994)年にアメリカを舞台に大統領周辺の陰謀を描いた『メルトダウン』で第1回小説現代推理新人賞を受賞。本格的な作家デビューを果たしていたが、作家活動に当たって、「震災を経験した作家として、なにか記録を残していかないと。それを義務のように感じました」。

 高嶋さんはその後、災害3部作と呼ばれる作品を次々と発表した。マグニチュード8の直下型地震が東京を襲う『M8』(平成16年)▽東海・東南海・南海の3つの地震が連動して、巨大な津波が日本列島の一部をのみ込む『TSUNAMI-津波』(同17年)▽巨大台風が東京を直撃、河川が氾濫して、市街地が水没する『ジェミニの方舟-東京大洪水』(同20年)。いずれも科学的知見と最新のデータを駆使して、極めてリアルなパニック小説に仕立て上げた。

東日本大震災から半年後に被災地の宮城県気仙沼市を訪れた高嶋さん =平成23年9月撮影
東日本大震災から半年後に被災地の宮城県気仙沼市を訪れた高嶋さん =平成23年9月撮影
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 高嶋さんは「阪神大震災、東日本大震災とも被害は甚大でした。国家存亡の危機といえる災厄を乗り越えることができたのは、首都東京が無事だったからです。本当に怖いのは、政治・経済が集中している東京が被災地となることです。わが国の経済的な損失だけでなく、世界恐慌をもひき起こすことになる。その前に、首都を移転させておくべきなんです」。

 そんな思いもあって、平成26年に刊行したのが『首都崩壊』だった。

 〈東京直下型地震(マグニチュード8)が5年以内、90%以上の確率で発生することが地質学者の研究で判明。この事実が明らかになれば、日本経済の崩壊、世界恐慌の引き金になりかねない。危機の回避には首都移転しかない。国はプロジェクトチームを作り移転に動く。その移転先は岡山県の吉備高原だった〉

福島第二原発の圧力容器下部を視察する高嶋さん(左端) =平成27年3月撮影
福島第二原発の圧力容器下部を視察する高嶋さん(左端) =平成27年3月撮影
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■注目集めた「予言書」

 「今後、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震が起こると、東京も大きな被害を受ける。数百兆円レベルの経済損失は、世界恐慌を引き起こすことにもなる。また、日本はさまざまな問題を抱えている。少子高齢化、東京一極集中など。これらを解決するには、日本の形を変える必要がある」

 今年8月、吉備高原に位置する岡山県吉備中央町の主催で開かれた「首都移転を考えるフォーラム」。基調講演に立った作家の高嶋哲夫さんはこう主張した。

(次ページ)新しい首都…“晴れの国”岡山県に移転! その理由とは

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