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【夜間中学はいま】(15)90歳超の女子中学生 生きる姿勢変わった

「人生で一番うれしかったことは、学校に来られたこと」と話す康士順さん=大阪市生野区(安元雄太撮影)
「人生で一番うれしかったことは、学校に来られたこと」と話す康士順さん=大阪市生野区(安元雄太撮影)
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 懐かしい「学校」の言葉に心が躍り、「いつかもう一度」と願っていた思いが蘇る。ひらがなやカタカナは独学で身につけていたが、勉強したいことは山ほどあった。80歳を超えていた康さんは「この年で入れてくれるんかなあ」と心配しながら、学校を訪ねた。先生は「入学できますよ」と即答。「そのときのことははっきり覚えています。とってもうれしかったですね」と満面の笑顔で語る。

 机を並べる級友も先生も高齢の康さんを気遣い、励まし、大事にしてくれた。

 毎日自転車で通学し、「夕方になるとワクワクしながら、学校に行く準備をしました」と振り返る。「年をとっても若いもんに負けるもんかと、頑張りました。計算も速いですよ。英語は、孫の一人がイギリスで医者をしているので覚えたかったけど…難しかったですね」

 充実した9年間。人生で一番うれしかったことをたずねられたら、迷わず「学校に来られたこと」と答えるという。

 「いくつからでも、いくつになっても勉強できる。100(歳)まで頑張ります」。小柄な体の背筋をピンと伸ばした。

92歳挑戦「すべてが初めての経験」

 金さんは、夜間中学に入学するまで一度も学校に通ったことがなかった。今、車いすで通学しながら、授業も行事も部活も「初めて経験することばかり」の学校生活を満喫する。

 日本での暮らしは二度目だ。最初は戦前、9歳のときに韓国から渡ってきた。11歳頃から働き、日本語を話したり聞いたりできるようになったが、読み書きはできなかった。10代後半で結婚し、長女を出産。終戦の直前、10年近く過ごした日本から韓国に戻り、農業をしながら7人の子供を育てた。

 高齢になって足腰が弱まり、ベランダや風呂場で倒れていたこともあった金さんを、大阪で暮らす次女の野田成さん(64)が心配し、同居を勧めた。

 二度目の日本での生活は5年前から。戦前はまだのどかだった大阪の街もすっかり都会に変わっていたが、日本語は耳にするうちに思い出した。

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