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【夜間中学はいま】(15)90歳超の女子中学生 生きる姿勢変わった

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学校ではすべてが初めての経験。「いろんなことに挑戦したい」と運動会にも車いすで参加する金相今さん=大阪市生野区(安元雄太撮影)
学校ではすべてが初めての経験。「いろんなことに挑戦したい」と運動会にも車いすで参加する金相今さん=大阪市生野区(安元雄太撮影)
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 いくつになっても人は学び、成長できる。夜間中学生が身をもって、そう教えてくれる。大阪市立東生野中学校夜間学級で9年間学び、今年3月に卒業した康士順(カン・サスン)さん(93)と、入れ替わるように4月に入学した金相今(キム・サンクン)さん(92)。世界恐慌、貧困、戦争…。ともに苦難の時代を生き抜き、学校と縁遠い人生を送ってきたが、晩年にたどり着いた夜間中学でひたむきに学び続け、励まし合う友も得た。「生きる姿勢が変わった」という。

93歳充実「いくつになっても勉強」

 康さんは、韓国・済州島で生まれ育った。兄や姉の結婚後、病気で寝たきりの母との暮らしは極めて貧しく、わらぶき屋根の家には水道も電気もない。戦争が始まると、毎日竹槍の訓練や道の整備をさせられ、生活は一層厳しくなった。セリやノビルなどの食べられる野草を何とか探し出し、怯えながら泣きながら暮らす日々。「青春時代なんかありませんでした」と顔を曇らせる。

 戦後まもなく母が亡くなり、結婚。突然日本へ渡った夫を、今にも沈みそうな小さな船で命がけで追いかけた。二十歳のときだった。以来、大阪で暮らす。

 言葉のわからない地で、寝る間もなく働いた。ヤミ米の買い出しもした。5人の子供を育てながら「とにかく生きるのに必死」だった。

 子供たちも大きくなり、ようやく幸せがめぐってきた康さんに、まだ33歳だった長男の急死が襲いかかる。幼い孫たちの世話が肩にかかり、悲しみでやけになった夫は酒浸りの末、がんで亡くなった。「本当にいろんな苦労しましたよ」。ぽつりともらす。

 13人の孫と13人のひ孫に恵まれ、老後の穏やかな暮らしを送っていたある日、家のポストに東生野夜間中学の生徒募集のチラシが入っていた。康さんが済州島で学校に通ったのは小学4年まで。女は学校なんか行かなくていいと、当たり前のように考えられていた時代だった。

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