PR

産経WEST 産経WEST

【ビブリオエッセー】集団登校の子供たちがリアルに 「かさねちゃんにきいてみな」有沢佳映(講談社)

 集団登校時の会話だけで、その子の性格や家族風景なんかが透けて見える。主人公の五年生男子、ユッキーの口調がリアルで面白い。時々、ドキッとする表現も出てくる。「先生たちが言う『マイペース』っていうのは、おめーとれえんだよってイミだ。」。

 幼い頃、私も言われていた。本人は急いでいるつもりでも周りに伝わらずイライラさせてしまう。

 班長である六年生女子のかさねちゃんは二年生女子の、のんすけがマイペースでもイライラしない。

 「かさねちゃんがすごいのは、オレたちに、リュウセイにさえ、一度も、うんざりって顔をしないとこだ。」

 問題児だらけの南雲町二班をまとめて、ちゃんと学校まで送り届けるかさねちゃんをユッキーは尊敬している。戸倉先生は、かさねちゃんのことを「すごうでの運び屋」だと言っている。かさねちゃんが卒業したら自分が班長だ。

 「でもやっぱオレじゃあ、かさねちゃんみたいな班長にはなれない」

 「ユッキーは……人によって態度かえたりしないから、いいよね」

 「そんなん言ったらみんなそうだよ。太郎も次郎もマユカもミツものんすけも、リュウセイだって」

 「ね、いい班だね。来年もアンタイだね」

 ユッキーが知らない言葉はカタカナで出てくる。後で意味と漢字を調べて、ユッキーは言う。「オレたちは安泰だ。かさねちゃんが言うんだから、決まってる。」。

 大人が読んでも一緒に登校している気分を味わえる。登校時の出来事やみんなの優しさが救いに。そう気づくことができる作品だ。

大阪市住之江区 佐竹加織 43

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ