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【夜間中学はいま】(14)おばあたちに料理で化学を教える理科教師  

 授業で、盛口さんの目の前にいるのは、人生で初めて「化学」を学ぶおばあたち。10代の中高生であれば、「先生の言うことは聞くものだ」と生徒たちもつきあってくれるが、人生経験豊かなおばあたちに、元素記号や化学式を教える中高生向けの授業では、納得してもらえないだろうと考えた。

 盛口さんが教室に持ち込んだのは鍋とコンロ。肉じゃがを作ることで化学反応を教えたのだ。

 「ごちそうが出てくるのかね」と鍋を見つめる生徒たちに、盛口さんは分かりやすく化学の世界を説明した。化学反応の特徴は「ものが、反応する前からすっかり変わって元に戻らないこと」。盛口さんは何十年も料理を続けてきたおばあたちに「それと気づかないだけで、これまでも化学につながることをずっとしてきたんですよ」と伝えたかった。

 夜間中学の授業は、教師が生徒に教えるという一方通行ではない。何か気になったことがあると、おばあたちは思い思いに語り始める。話はしばしば脱線するが、それがまた新たな学びを生むことがある。

 例えば、小麦粉に含まれるタンパク質・グルテンを題材にした授業で、グルテンには粘り気があり、パンやうどんの材料になる-という説明をしたところ、おばあの一人は「麦の穂から粒を取って、ガムのようにかんで食べたさ」と幼い頃の記憶をたどり始めた。

 別のおばあは、子供の頃に身を寄せた家の仕事が「(小麦粉のグルテンから)麩を作ることだった」と振り返っていた。そんな具合におばあたちは、互いの話を聞きながら、授業の内容をかみしめていたという。

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