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【美と遊ぶ】愛憎入り乱れる男女関係が生んだ美の結晶 ラファエル前派の軌跡展

 ハントの作品「甘美なる無為」は最初、自らが見つけ出した酒場の女、アニー・ミラーをモデルに制作が始まった。ところが貧しいアニーをレディーへ育てようとする彼の思惑は失敗、破局を迎えるとともに、絵画制作も中断する。しかし、その10年後に結婚した女性を再びモデルとして再制作された。左薬指に指輪をはめた異国情緒あふれる女性像は、こうして生まれたのだった。

 さらにミレイの「滝」も、不倫のにおいが漂う。あろうことか彼は自分たちラファエル前派の擁護者でもあったラスキンの妻、エフィに恋をしてしまった。一緒にスコットランド旅行をしたとき、ミレイは風景画のなかに恋した彼女を描きとめた。「滝」はそうした一枚だ。のちにエフィはラスキンと別れ、ミレイの妻となった。

 この関係もどこか、ビートルズのジョージ・ハリスンの妻に恋をし、のちにその女性を妻としたギタリストのエリック・クラプトンを思い起こさせる。

■ミューズを求めて

 あべのハルカス美術館の新谷式子学芸員は「彼らには、まず女性ありき。ロセッティなど、ナンパして連れてきた女性をモデルに描いたのは聖母。いわば、そのための具体像が必要だったわけです」と説明する。彼女たちは制作のための「ミューズ(女神)」になったといってもいい。

 新たな時代の女性の姿を表現した戯曲「人形の家」が書かれたのは1879年のこと。もしかしたら、彼らはそうしたフェミニズムの萌芽(ほうが)を、いち早く見抜いていたのだろうか。それとも、海をへだてたフランスで、象徴主義の画家ギュスターヴ・モロー(1826~98年)が「サロメ」など「運命の女」を描いていたことに呼応する、時代の要請として生まれた絵だったのか。

 いずれにしても、仲間同士の色恋沙汰が激しい芸術運動だ。「彼らラファエル前派はそうしたドロドロも制作の肥やしにしていったといっていいでしょう」と新谷学芸員。

 その作品を見るときは、複雑にからまった人間関係にも着目してほしい。

     ◇

 12月15日まで。一般1500円。問い合わせは、あべのハルカス美術館(電話06・4399・9050、公式サイト https://prb2019.jp/ )。

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