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【美と遊ぶ】愛憎入り乱れる男女関係が生んだ美の結晶 ラファエル前派の軌跡展

ラファエル前派相関図
ラファエル前派相関図
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 英国を代表する美術批評家、ジョン・ラスキン(1819~1900年)の生誕200年を記念し、彼の思想に共鳴した若い画学生たちが集まってつくった前衛芸術家集団の優れた作品の数々を集めた「ラファエル前派の軌跡展」( https://prb2019.jp/ )が大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館( https://www.aham.jp/ )で10月5日、開幕する。大仰な名前で呼ばれる彼らのグループだが、実態は町で見かけたかわいい女の子を口説いてモデルにしたり、仲間の奥さんを奪ったり、と女性スキャンダルには事欠かない才能あふれる「軟派」な若者たち。しかし、そうした人間関係のなかで育まれた熱情が創作のエネルギーとなって、多くの名作を生む力となっていった。ひたすら女性に恋し、そして描いたラファエル前派の群像をまとめた。(正木利和)

■権威をぶっ飛ばせ

 「ラファエロよりも前にもどろうじゃないか」

 ときは英国の黄金期、19世紀ビクトリア朝。1848年9月、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~96年)のアトリエにラスキンの説く「自然に忠実に」という思想に共鳴したロイヤル・アカデミー美術学校で学んだ若者たち、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827~1910年)、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828~82年)ら計7人の若者が集まった。

 彼らは「ラファエル前派兄弟団」と名乗ることになる。それは当時の美術教育の主流だったルネサンスの巨匠、ラファエロ・サンティ(1483~1520年)以前に戻ろうという表明だった。絵が上手で血気盛んな若者たちは、古典主義様式を金科玉条とし、自然を見つめる姿勢を忘れた美術界の現状を打破しようと立ち上がったのである。

 このあたり、同じ英国で20世紀に「ロール・オーバー・ベートーベン(ベートーベンをぶっとばせ)」と歌ったザ・ビートルズの登場と似ている。

 彼らの設立趣意書には「独創的なアイデアを持つ」「自然を観察する」など活動の趣旨がしるされていた。そのなかで最も重要とされたのは「絶対に美しいものを制作すること」だった。耽美(たんび)的な志向は、彼らの活動のモットーだったのである。

■奔放な恋

 オックスフォードの劇場で芝居を見ていた馬丁の娘、ジェイン・バーデンはロセッティ、エドワード・バーン=ジョーンズ(1833~98年)に見初められ、モデルになった。

 彫りが深く、目力の強い彼女はその美貌ゆえに、のちに「モダンデザインの父」といわれるウィリアム・モリス(1834~96年)と結婚する。

 一方、モデルでもあった妻のエリザベス・シダルを亡くしたロセッティは、モリスとの生活にストレスを感じたジェインに近づき、彼女をモデルにした「プロセルピナ」や「ムネーモシューネー」といった後世に残る名作を残す。

 女性スキャンダルをふりまいたのはロセッティだけではない。

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