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【理研が語る】まだ見ぬ地平へ 川口喬吾

指紋の模様などに見られる「トポロジカル欠陥」(左)は、日常でもよく見つかる構造だが、細胞集団の中での役割は着目されていなかった。わたしたちは最近、これが神経幹細胞集団(右)の中にも現れ、細胞の流れの起点となっていることを見つけた
指紋の模様などに見られる「トポロジカル欠陥」(左)は、日常でもよく見つかる構造だが、細胞集団の中での役割は着目されていなかった。わたしたちは最近、これが神経幹細胞集団(右)の中にも現れ、細胞の流れの起点となっていることを見つけた
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 わたしたちの科学は発展途上にある。まだまだ未到達の地平がある。

 たとえば宇宙が誕生したのは約140億年前で、最近では加速度的に膨張しているらしい。広い宇宙を見渡すと、太陽の何億倍も大きな星や、中性子星というとても重い星、ブラックホールと呼ばれる物騒なものもあるらしい。望遠鏡で見えない現象も、巨大な水槽でニュートリノを検出したり、さらに巨大な装置によって重力波というものを検出して観測できるのだという。

 しかしダークマターという謎の物質の正体は不明らしいし、宇宙の最初の最初に何があったのかもいまだによくわかっていない。まだまだである。

 あるいは技術の発展について。つい数百年前に地球が丸いと確信したばかりの割には、飛行機に乗って地球を半周するのはもはや簡単になっているし、連絡を取りたいだけであればどれだけ遠方でも手元の端末の操作一つでつながるようになった。数億キロ離れた小惑星に探査機を飛ばして、そこにあった石を持ち帰って来るなんてこともできる。

 しかし2019年にもなっていまだに車は空を飛んでいないし、人体を丸ごとテレポートする方法もない。まったくこれでも進歩しているといえるのだろうか。

 もちろんこれらの不満はぜいたくというべきもので、現代の科学や技術に要求されている水準がいかに高いかという話である。ここまで人類が至るまでには長い長い道のりがあり、その道中では驚くほど精密な予測を的中させる物理理論や、注文通りの精度で自在にモノを作る技術が練り上げられてきた。ごく専門的な知識の更新や多少の技術の発展はまだあるが、むしろ大体のことはわかったし、大体のものは作れる時代だ、と満足すべきかもしれない。

 一方で、わたしたちの身体についてはどうだろうか。

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