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【高めあって】(下)弟を兄がサポート…乙黒兄弟が描く東京への道

世界選手権代表入りを決め、握手する兄の乙黒圭祐(左)と弟の拓斗=和光市総合体育館
世界選手権代表入りを決め、握手する兄の乙黒圭祐(左)と弟の拓斗=和光市総合体育館

 男子フリースタイル65キロ級代表として臨んだ昨年の世界選手権で、乙黒拓斗(山梨学院大)は日本男子の史上最年少記録となる19歳10カ月で初優勝を飾った。2連覇を目指す今回の世界選手権。スパーリングパートナーとして同行するのは、2歳年上の兄、圭祐(自衛隊)だ。

 拓斗にとって、これほど兄のありがたみを感じた経験はなかった。今年6月の全日本選抜選手権。男子65キロ級決勝でリオデジャネイロ五輪57キロ級銀メダルの樋口黎(日体大助手)に5-15で完敗した。「どんなことがあっても勝てる自信があったけど、全てがだめに思えて立ち直れなかった」。昨年の全日本選抜選手権以降、無敗を続けていただけに、ショックは大きかった。

 「普段通りにやれば大丈夫」。しばらくして、圭祐は拓斗に声をかけた。誰かが止めるまでやめないほどの圧倒的な練習量とレスリングセンスを持つ弟の能力を知っているからこそ、シンプルな表現で背中を押した。

 7月に行われた樋口とのプレーオフは5-0の完封勝ち。世界選手権切符を手にした拓斗は、圭祐から「よかったね」と声をかけられて「感謝を知った」と涙を流した。

 圭祐は非五輪階級の70キロ級から五輪実施階級の74キロ級に転向したが、全日本選抜選手権で初戦敗退。自身の世界選手権出場は逃した。それでも、スパーリングパートナーとして弟を全力でサポートし、「動きを見れば調子の良しあしがわかる。気づいたことは遠慮しないで伝えられるのが兄弟」と言い切る。献身的な兄の姿に、拓斗も「ベストパフォーマンスを出すために、いい方向に持っていってくれる」と全幅の信頼を寄せる。

 ただ、圭祐自身も東京五輪出場を諦めたわけではない。74キロ級は同じ自衛隊所属で1歳上の奥井真生が世界選手権初代表をつかんだが、その結果次第でチャンスは残る。「拓斗に追いつけるように練習していく」と圭祐。弟の「東京行き」がかなった後は、自身も続くと決めている。(岡野祐己)

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