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【夜間中学はいま】(11)伝説の教師が教えた「生きる力を支える言葉」

 大人になると覚えるのは容易ではなく、漢字はつまずきの壁となりやすい。2千字ほどの常用漢字には、簡単でもあまり使わないものがある一方、難しくても頻繁に使うものもある。

 見城さんは同僚らと、生徒が暮らしの中でよく使う漢字を「衣食住」「病院」「履歴書」などのテーマ別に計381字を厳選。「生活基本漢字」と名付け、生徒の職場に即した例文を作って学ぶ工夫もした。「給料の明細書が読めた」「子供の学校からの便りがわかった」「日報が書けた」。そんな声が次々と届いた。

 覚えた文字を使って、いかに表現するかにも気を配った。複雑な背景を持つ生徒たちは劣等感を抱きがちで、使う言葉も否定的になりやすい。それはときに自分を追い込んでしまう。心と言葉は影響し合うのだ。夜間中学の生徒に必要なのは「生きる力を支える言葉」。それを身につけてもらうことに力を注いだ。

 ■鈍行列車

 夜間中学に関わり60年近く、教えた生徒は2千人以上にのぼる。生徒が書いた作文や手紙などはほとんど保管しているという。

 50歳を過ぎて入学した女性は、卒業時にこんな詩を書いた(一部抜粋)。

 ずいぶん年をとってから

 私は私の乗れる汽車をみつけた

 それは夜間中学校という鈍行列車

 「社会の矛盾を受け止めてきた夜間中学にはいつの時代も一番立場の弱い人、困っている人たちがやってきました。夜間中学は誰でも安心して乗れる鈍行列車でなければならないと改めて思います」と見城さん。近年増えている外国籍の生徒も、「日本で生きる力を支える言葉」を必要とする困っている人たちだ。今後、不登校経験者も増えていくだろう。多様な人が集う夜間中学の持つ教育力は、さらに重要になると強調する。

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