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【夜間中学はいま】(11)伝説の教師が教えた「生きる力を支える言葉」

【夜間中学はいま】山田洋次監督の映画「学校」のモデルとなった伝説的教師、見城慶和さん。ボランティアで自主勉強会「えんぴつの会」を運営している=東京都墨田区(鈴木健児撮影) 
【夜間中学はいま】山田洋次監督の映画「学校」のモデルとなった伝説的教師、見城慶和さん。ボランティアで自主勉強会「えんぴつの会」を運営している=東京都墨田区(鈴木健児撮影) 

 夜間中学一筋に歩んだ伝説の教師がいる。見城慶和さん(81)。夜間中学を舞台に、さまざまな背景を持つ生徒と教師との交流を描いた山田洋次監督の映画「学校」で、俳優の西田敏行さん演じる主人公のモデルとなった一人。昭和36年から平成15年まで42年間、東京都内の3つの公立夜間中学に勤務し、退職後も自主夜間中学で生徒に向き合い続ける。まさに夜間中学の歴史の証人だ。

 ■そのまま書く

 教員試験に合格し大学卒業を控えた昭和36年2月、書店で偶然手にした本が見城さんの人生を変えた。東京の下町にある荒川区立第九中学校夜間学級の教師が書いた「夜間中学生」。貧困のために昼に働きながら、夜に学校に通う生徒がいることを初めて知った。

 「こんな学校があっていいのか」。肩を怒らせ、寒い夜の教室を訪ねた。鉛筆工場で働く10代の女子生徒は、仕事場で使うシンナーで頭がくらくらするとつぶやいた。50代の生徒もいた。厳然たる社会の現実に「足元から崩れるような衝撃」を受けた見城さんは、「彼らがなぜ夜間中学生なのか、夜間中学がなぜ必要なのかを知りたい」と思う。4月から同校の教壇に立った。

 生徒たちの背景を知るため、新米の国語教師は、メッキ塗装やプレス加工などの職場に足を運んだ。生徒に1冊ずつノートを渡して作文も書かせた。「国語の勉強という意味もあったが、生徒の日常生活や思いを知りたかった」からだ。

 だが、つらい仕事や貧しい暮らしのことなど、人に知られたくないのだろう。生徒が書くのはわずか1、2行。そこに1ページほど感想を書き込んでいると、まるで自分が生徒から作文を書かされているようだった。

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