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【お城探偵】千田嘉博 再建「尼崎城」天守 平成に生まれ令和を見渡す

 特筆したいのは2階にある尼崎城のバーチャルリアリティー(VR)「よみがえる尼崎城」である。多聞櫓内がシアターになっていて、精密に復元した尼崎城と城下を巨大スクリーンで体感できる。堀や石垣、天守をはじめとした建物を史料にもとづいて忠実に復元しただけでなく、水堀に石垣や建物が映るところまで描き出した質感に圧倒される。

 教科書にも出てくる近世上方を代表した文化人が、城内まで案内するというストーリーもみごとである。あまがさき公式観光サイト(https://kansai-tourism-amagasaki.jp/)から予告編が見られるが、ぜひ尼崎城天守を訪ねて、本編をごらんいただきたい。

 3階の「なりきり体験コーナー」には畳があって、江戸時代の武士やお姫さまの衣装に着替えることができる。最上階は展望台になっていて、ここではタブレット端末を利用して窓の外に見える21世紀の実景と、タブレットの中に再現した江戸時代の城下町の景観を対比して眺められるようにしている。城のようすや昔の町並みがよく理解できる。

 尼崎城天守は本来あった位置ではなく、また細部は史実と異なる。しかし、昭和に再建した「大阪城天守閣」が、史実に反した点を多くもっていても、博物館として尊敬され、市民に愛され、世界から多くの入館者を集めているように、完成した尼崎城天守にとって大切なのは、未来を見渡す交流と学びの施設として、市民の期待にいかに応える活動をしていくかにあると思う。

 完成に合わせて多くの体験プログラムがはじまっていると聞く。尼崎城天守のこれからに注目したい。(城郭考古学者 千田嘉博)

【用語解説】尼崎城

 江戸幕府の命で戸田氏鉄が築城。大阪湾に面した平城で、本丸の周囲に二の丸、三の丸、松の丸を配置した。1873(明治6)年に廃城。天守などの建物は解体、石垣も壊された。天守があった本丸は市立明城小周辺と推定されていて、昨年11月に「再現」された天守が建つ位置とは異なる。

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