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【一聞百見】AI、VR…科学で目指す争いのない世界 認知科学者、佐久間洋司さん(23)

VRゴーグルを装着してバーチャルの世界へ =大阪市北区(渡辺恭晃撮影) 
VRゴーグルを装着してバーチャルの世界へ =大阪市北区(渡辺恭晃撮影) 
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■「共感」呼び起こす技術を求め

 科学の力で、人間の「他者への共感」を呼び起こすシステムの開発に挑戦する佐久間さんは現在、大阪大4年。学部生ながら企業などとともに研究に取り組む認知科学者として、二足のわらじを履く。自らを研究の世界へ導いたのは、人間の「意識」への飽くなき探究心だった。「幼い頃から、自分とは異なる『他者という存在』に強い関心があった」と振り返る。最初に覚えた言葉の一つは「どうぞ」。物心ついたときから、「共感する」という感情に興味を抱いていた。強く意識したのは、高校3年のときだ。

 母校では、クラス全員で演劇を上演し、学級間ででき栄えを競う行事があった。3年生で監督と責任者を務めたが、劇は一部教員から根拠なく「投票の不正」を指摘され、失格に。「大人の理不尽さを感じ、高校生活が世界のすべてだった僕にとって、第三次世界大戦が始まったくらいショックな出来事だった」。だが、同級生らは責めず、優しい言葉をかけてくれた。「佐久間じゃなかったら劇はできなかった」「一緒にいられてよかった」。人間には共感する人と、しない人がいる-。「どうして僕たちは互いを理解しようとすることすらできない瞬間があるのか、それを改善することはできないのかと、深く考えるようになった」

学生に向け、自身の留学や研究内容について講演する佐久間洋司さん =平成30年12月(佐久間さん提供)
学生に向け、自身の留学や研究内容について講演する佐久間洋司さん =平成30年12月(佐久間さん提供)
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 高校卒業後、人間そっくりのロボット「アンドロイド」の開発を通じ、「人間とは何か」を追究する石黒浩・大阪大教授の考えに共感し、同大基礎工学部に進学。入学直後からロボット系ベンチャー企業でのインターンシップに参加、得た知識をもとに、大学の研究支援プログラムを活用し、人工知能(AI)を使ったロボットの対話システムの開発研究を独自にスタートさせた。ほどなくして、研究の支援者の仲介で念願の石黒教授との面会の機会を得る。「やりたいことを問われ、『人間の意識を脳科学的に明らかにするのではなく、工学的観点から変えてみたい』と伝えると、先生は、周囲に『机あげて』と」。研究室入りが認められ、研究者の卵となった。

 だが、当時の日本はディープラーニング(深層学習)など最新のAI技術を学ぶのに十分な環境ではなかった。平成27(2015)年に「人工知能研究会」を設立。代表として、学生が情報共有できる場作りや専門家を招いた勉強会などを開催し、約2千人の会員が集まる日本最大級のAIコミュニティーに成長させた。「もっと視野を広げたい」と、2年のとき、近年のAIブーム発祥の地として知られるカナダ・トロント大に1年間留学した。最高の教材・環境で学ぶ最先端の技術。同時に、世界と日本の圧倒的な差を思い知らされる。

「自分の目標のために科学技術を使っていく」と話す佐久間さん =大阪市内(渡辺恭晃撮影) 
「自分の目標のために科学技術を使っていく」と話す佐久間さん =大阪市内(渡辺恭晃撮影) 
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 日本でしか、自分にしかできないこととは-。たどり着いた答えが、「人間の意識を理解し、変える」という認知科学の研究。「それまでの技術ありきの考え方から、自分の目標のために科学技術を使っていくという考えに転向を決めた」

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