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再保釈増加、背景に裁判員制度も

 1審で実刑判決を受けた被告を保釈する「再保釈」が倍増している背景には、裁判員制度の導入があるとされる。1審の裁判員裁判の前には被告と弁護側の入念な打ち合わせが行われるため保釈される傾向が強まっており、その影響があるというのだ。しかし、いったん実刑判決が出ていることから「推定無罪」の原則が崩れているとして通常の保釈とは違う対応を求める声もある。再保釈中の被告が犯罪に手を染めるケースも起きており、関係者からは再保釈のあり方を見直すべきだとの声が上がる。

■8日後に殺人未遂

 「一緒にいた男性が刺された」。4月18日、神戸市中央区の商店街で、指定暴力団神戸山口組傘下組織の組長が男2人から襲われ、左肩などを刺される事件があった。襲撃した2人は車で逃走。約1時間後に警察署に出頭し、殺人未遂容疑で逮捕された。

 このうち1人が、組長の対立組織に所属する組員で、逃走車の運転役とみられている被告(52)=同罪で起訴。関係者によると、被告は、覚醒剤を密売していた男性を車内に監禁し負傷させたとする逮捕監禁致傷罪に問われ、4月9日、大阪地裁で懲役2年4月の実刑判決を受けていた。

 被告側は控訴し、弁護側の申請で被告は翌10日に再保釈を認められたが、神戸での殺人未遂事件は、そのわずか8日後に起きていた。元検事の高井康行弁護士は「結果として裁判官の判断が甘かったと言わざるを得ない」と話す。

 和歌山市で平成28年、拳銃で4人を死傷させ、立てこもった男=当時(45)、自殺=も、再保釈後に事件を起こしていた。

■「より厳格に運用を」

 再保釈が増えている背景にあるとされるのが裁判員制度の導入だ。

 制度に合わせて17年から、裁判所と検察側、弁護側が協議して裁判で取り扱う証拠や争点を整理し、公判のスケジュールを決める非公開の手続き「公判前整理手続き」が実施されている。この手続きで被告と弁護側の間で入念な打ち合わせをする必要性が生じ、1審判決前の保釈が増加したという。

 この流れを受け、1審で実刑判決が出てから2審までの間でも、再保釈を認めるケースが増えたとみられている。

 こうした状況について元東京高裁部総括判事の門野博弁護士は「推定無罪の原則があるとはいえ、1審判決を受けたことで状況は大きく変わっている」と述べ、1審判決前の保釈と実刑判決を受けた後の再保釈では差があることを指摘。再保釈については「裁判所は1審判決の内容や被告の健康状態など、さまざまな要素を慎重に考慮する必要がある」と求める。

 判決が確定していない被告を長期間勾留することは「人質司法」にあたるとの意見は根強い。再保釈時には1審判決前での保釈と比べて被告側が納める保釈金が1・5倍程度となるケースが多く、こうした運用が逃亡の抑止力になっているとの見方もある。ただ、ある検察幹部は「裁判所は再保釈についてより厳格に運用すべきだ」と話した。

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