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【一聞百見】佐渡裕さん今夏も被災地へ、鎮魂の演奏会を子供らと 兵庫県立芸術文化センター芸術監督

鎮魂演奏会を前に、震災犠牲者への思いを巡らす佐渡裕さんと岩崎昭子さん =平成23(2011)年8月、岩手県釜石市根浜海岸
鎮魂演奏会を前に、震災犠牲者への思いを巡らす佐渡裕さんと岩崎昭子さん =平成23(2011)年8月、岩手県釜石市根浜海岸
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■平和願い指揮した師

 東日本大震災から約5カ後の8月。岩手県釜石市に佐渡さんと子供たちの姿があった。佐渡さんに手紙を書いた女将、岩崎昭子さんが経営する同市根浜海岸の旅館は津波の直撃を受け、4階のうち2階までが浸水し、鉄骨はむき出しだった。余震が続いていたが、傷跡生々しい旅館に佐渡さんと子供たちは宿泊。翌朝、旅館の前の松林に集まり、多くの犠牲者が眠る海に向かって黙祷(もくとう)。地元の人々が見守るなか、祈るような静かな演奏を披露した。佐渡さんはここを「聖地」と呼び、毎年祈りをささげている。

 今年で9回目を迎える演奏会。8月4日まで岩手県の復興音楽祭「さんりく音楽祭2019」(佐渡さんの出演は3日まで)として開催。佐渡さんは3日の久慈市でのコンサートで、初めて警察や自衛隊の音楽隊とジョイントし、合唱団やSKOと合わせ約140人を指揮する。

 すでにその視線は再来年、東日本大震災から10年となる令和3(2021)年を見据えていた。「傷跡の大きかった沿岸部をさらに勇気づけるために、さだまさしさんらと協力し、次世代を担う高校生ら若者を主体として、まちとまちの垣根をこえた大イベントを考えたい」と構想を練る。

 脳裏には女将、岩崎さんの苦境がある。被災した旅館は復旧したが、借金返済に追われる。「沿岸部の人たちが共通して抱える問題だろう」。復興の姿が見えるようで見えない日々だが「僕たちが毎年演奏会に訪れることを楽しみにしてくれている人々がいる限り、演奏会は続けようと思う」と決意は固い。

 佐渡さんがこれほど音楽と社会との関わりを意識するのはなぜか。そこには“師”、レナード・バーンスタイン(1918~1990年)の影響があった。「ウエストサイド物語」の作曲など、20世紀を代表する指揮者とされるバーンスタインは終生、平和を希求したことで知られる。その最晩年の3年間をともに過ごした佐渡さんは「良い音をつくることが人に元気を与え、一緒に泣いたり喜んだりできることにつながると気づかされたのはまぎれもなくバーンスタインの影響だと思う」という。

 自叙伝的著書『バーンスタインわが音楽的人生』(平成24年、作品社)を翻訳した元産経新聞記者の岡野弁さんはこう評した。「セイジとユタカのヒューマニストぶりはバーンスタインゆずりだ」

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