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当たり前の風景が“宝”に 青春の京アニ「聖地巡礼」の虜に

京都アニメ会社放火事件 放火された京都アニメーションの第一スタジオ近くの献花台に捧げられたメッセージと京アニグッズ =1日午前、京都市伏見区(永田直也撮影)
京都アニメ会社放火事件 放火された京都アニメーションの第一スタジオ近くの献花台に捧げられたメッセージと京アニグッズ =1日午前、京都市伏見区(永田直也撮影)

 高校1年のとき、友人の勧めで京都アニメーションの作品「けいおん!」を初めて見てから丸10年。青春時代を京アニ作品とともに歩んだ一人として、京アニのスタジオが炎と煙に包まれる様子に言葉で言い尽くせない感情があふれ、涙をこらえきれなかった。

 日本のアニメをサブ(非主流)カルチャーでなく、ポップ(大衆)カルチャーとして世界に認識させたものの一つが京アニだ。日常の些細(ささい)な出来事に意味を持たせる演出に高い作画力、美しい背景…。京アニの魅力は年齢、性別、人種を問わず世界へと広がった。

 大学時代、仏留学中にベルギーで開かれた「JAPAN EXPO」の会場を訪れた際、1人の少女を見てうれしくなった。片目に眼帯のゴスロリ風ファッション。京アニ作品「中二病でも恋がしたい!」のヒロイン、小鳥遊(たかなし)六花(りっか)のコスプレをしていたからだ。事件後、外国人ファンが現場を訪れる様子に、世界への影響力を改めて認識した。

 作品のモデルとされる地を巡る「聖地巡礼」の楽しみを教えてくれたのも京アニだ。大学時代に放映された「中二病-」の聖地は地元・大津市内の通学路でもあった。普段見ていた公園の遊具一つ一つから、近所の若者しか利用しない娯楽施設まで作品で忠実に再現されていた。うれしさのあまり、「通学路が聖地だよ」と自慢していたことを思い出す。当たり前の風景が“宝”に変わる聖地巡礼の魅力にとりつかれ、毎年全国各地で巡礼を楽しむようになった。

 「響け!ユーフォニアム」も、京アニ本社がある宇治市が舞台だ。市観光センター近くにあるベンチにも多くのファンが訪れる。ベンチは作中のヒロインの恋愛シーンに使用され、青春の甘酸っぱさを感じさせる名シーンの引き立て役だった。アニメがなければ出合わなかったかもしれない街の魅力を教えてくれた。

 事件を受け、大学時代の後輩から「映画 けいおん!」のクリエーターによるメッセージブックを借りた。130人以上のクリエーターが、イラストなどとともに《すてきな作品に出会えてハッピーでした》《画面から愛を感じて欲しい》とつづっていた。

 クリエーターたちはアニメを愛し、一つ一つの作品を大切にしてきた。もちろん、ファンもクリエーター一人一人を愛してきた。自分は報道に携わる立場だが、長年のファンとして、クリエーターたちの命を奪った未曽有の犯罪を決して許すことはできない。(尾崎豪一)

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