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【寅さん50年 男はつらいよを読む-吉村英夫】(16)参道から食卓が見える

撮影で使ったテーブルや椅子を使って「とらや」を再現した葛飾柴又「寅さん記念館」=平成29年9月、東京都葛飾区
撮影で使ったテーブルや椅子を使って「とらや」を再現した葛飾柴又「寅さん記念館」=平成29年9月、東京都葛飾区

 硬貨を入れてダイヤルを回す赤電話は高度成長とともに減った。だが寅次郎は断固10円玉派だった。遠い旅先から東京・柴又「とらや」への電話は、手持ちの10円玉がなくなり用件の途中で切れてしまう。

 とらやも時代から取り残されて、ここは最新冷暖房器具と無縁である。夏はうちわで、風鈴が季節の趣を伝えた。ちらりと扇風機が見えたのは第41作『寅次郎心の旅路』(主なロケ地=ウィーン)ほか2作品のはず。

 冬でもふすまは開け放されていた。茶の間での食事を、参道を通る人は見通せた。日本間の卓袱台(ちゃぶだい)は、高度成長前期までの生活様式である。時代とともに家庭における個人の自立がすすみ、密室個室型が主流になった。各部屋にテレビがある家が増えてきたが、とらやはそれ以前の状態を守り続けた。

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