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【寅さん50年 男はつらいよを読む-吉村英夫】(11)「人間は何のために生きてるのかな」

 第39作『寅次郎物語』(主なロケ地=三重県、奈良県)で高校生になっている満男に「人間は何のために生きてるのかな」と問われ、「難しいこと聞くなァ。何と言うかな、あー生まれてきてよかったなあって思うことが何べんかあるじゃない。そのために人間、生きてんじゃねえのか」。人間のありようを、究極のわかりやすい言葉で言っている。

 進学準備に身が入らない満男が「何のために勉強するのかな」と尋ねる第40作『寅次郎サラダ記念日』(主なロケ地=長野県)。この難問にも寅は寅らしい答えを持っている。

 「人間長い間生きてりゃ、いろんなことにぶつかるだろう。そんな時に俺みたいに勉強してない奴は、このサイコロの目で決めるとか、その時の気分で決めるしかしょうがない。ところが勉強した奴はな、自分の頭でキチンと筋道たてて、こういう時はどうすればいいかってことを考えることができるんだ。だからみんな大学に行くんじゃないか。…あー久しぶりにきちんとしたこと考えたら頭痛くなっちゃった」

 人間への限りないいとおしさが感じられて快い。シリーズ後半でも愛の探求者としての激しい内面も持っているのを忘れてはならないのだが。

よしむら・ひでお 映画評論家。三重県の高校教諭を経て、三重大学非常勤講師、愛知淑徳大学文化創造学部教授などを歴任。『完全版 男はつらいよの世界』(集英社)、『松竹大船映画-小津、木下、山田太一、山田洋次の描く〈家族〉』(創土社)など著書多数。津市出身。79歳。

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