PR

産経WEST 産経WEST

【一聞百見】建築“裏人生”インスタ映え200年前「ほんまもん」町並み再現 大阪くらしの今昔館館長・谷直樹さん(70)

中央の大阪市章「澪標」をさし「大阪人の意気込みを感じます」と話す谷直樹館長 =大阪市北区の大阪くらしの今昔館(南雲都撮影)
中央の大阪市章「澪標」をさし「大阪人の意気込みを感じます」と話す谷直樹館長 =大阪市北区の大阪くらしの今昔館(南雲都撮影)
その他の写真を見る(5/6枚)

■博物館は「体験」と出合う場所

 「きれいでしょう? 中央に描かれているのは大阪市章の『澪標(みおつくし)』です。中之島を世界的レベルのシビックセンターにしようという100年前の大阪人の意気込みが伝わってきます」最近新たに常設展示に加わったステンドグラスとシャンデリア。昭和57(1982)年に解体された旧大阪市庁舎(大正時代)の玄関ホールを彩ったものだ。企画展の準備で調査中、現市庁舎の地下倉庫で発見された。

 住まいをテーマにした博物館は珍しい。「いいところに目を付けたと思いますよ」とにんまり。座敷や床の間もあって、ボランティアガイドの案内で上がって座ることもできる。「衣食住といいますが食はすぐなくなるし衣は年単位で変化する。ところが住は百年単位。ゆっくりとなくなっていくのでそのことに気付かない。気付いたときには消えているんです」

 めざす博物館像とは。

 「博物館というと昔は勉強のため、それも子供のための教育施設の要素が強かった。でも今は生涯学習の時代です。高齢者や大学生向けのプログラムを考えなくてはいけない。特に学生こそ文化を学ばないといけないと思っています」

 本物の町家を作ったからこそできることがある。

 「例えば、床の間に掛け軸を掛ける。多くの人が、掛けたこともなければ巻き方も知らないでしょう。一度自分でやってみることが大切なんです。その体験が国際化社会の中での日本人のアイデンティティーになっていくと思う」

 さほど広くもなく、大きなアトラクションがあるわけでもない今昔館だが、開館前には行列ができるほど連日にぎわう。その役割と今後を聞くと…。

 「住まいのミュージアムなので暮らしに関わることや年中行事など、大阪で廃れてしまったものも情報網を張ってできるだけ再現していきたい。今ここにあるものを磨くだけでも、まだまだやれることがたくさんあると思っているんですよ」

 これからもその仕掛けに目が離せない。

     ◇

【プロフィル】谷直樹(たに・なおき) 昭和23年兵庫県姫路市生まれ、大阪育ち。京都大学工学部建築学科卒、同大学院修了。堺市博物館主任研究員、大阪市立大教授を経て名誉教授。専門は日本建築史。

     ◇

【用語解説】大阪くらしの今昔館( http://konjyakukan.com )

 大阪市北区天神橋6丁目、「住まいの歴史と文化」をテーマに平成13年オープン。江戸後期・天保初年の町並みを実物大で再現したほか、明治~昭和の住まいと暮らしの変遷を資料や模型で展示。企画展もある。火曜休館。

上方の生活文化を収蔵品などでまとめた冊子「上方生活文化堂」
上方の生活文化を収蔵品などでまとめた冊子「上方生活文化堂」
その他の写真を見る(6/6枚)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ