PR

産経WEST 産経WEST

【8050の実像】引きこもり当事者、容疑者と自分を重ねて

小学生を含む複数の人が刺された現場付近を調べる捜査員ら=5月28日午前、川崎市多摩区(松本健吾撮影)
小学生を含む複数の人が刺された現場付近を調べる捜査員ら=5月28日午前、川崎市多摩区(松本健吾撮影)

 川崎市の引きこもり傾向にあった男(51)が起こした無差別児童殺傷事件や東京都練馬区で元農林水産事務次官による引きこもりの長男(44)の殺害事件など、「8050(はちまるごーまる)問題」の当事者世代と関連する事件が相次いでいる。「50世代」にあたる引きこもり当事者や元当事者は、事件をどう受け止めているのか。3人の男性に聞いた。

■「何か行動しないとやばい」

 「自殺や他人を傷つけようと考えたことはないが、(川崎の事件の)容疑者と自分を重ねて『このままではいつか自分も行き詰まる』と不安になった」。奈良県の男性(44)は26歳で国立大を中退後、18年にわたり実家で引きこもり生活を送る。70代の両親は健在だが、最近は以前のように就労や自立を促されなくなったという。

 川崎の事件をきっかけに8050問題に注目が集まる中、「年齢的に手遅れかもしれないけど、社会復帰のために何か行動をしないとやばい」と危機感を覚え、引きこもり当事者の居場所づくりに取り組む支援団体に連絡した。

 元農水事務次官の事件については、「親がレールを引きすぎたのでは」と指摘。一方で一連の事件の報道について、「引きこもりと事件を結びつけるのは、安直だ。どうしたら引きこもりが社会に復帰できるかを考えたほうが有益」と話した。

■「分かりやすい答えほしいだけ」

 10代半ばから30代の半ばまで断続的に引きこもっていたという大阪府の男性会社員(46)は、川崎の事件で容疑者が現場の下見などをしていたことに触れ、「(引きこもり生活から)外に出ることはエネルギーが要る。長年、恨みが蓄積していたのかきっかけがあったのかどうか分からないが、それが負の方向に向かったのか」と推測する。

 また、事件後、インターネット上では、川崎の事件の容疑者を指して、「社会的な信用など失うものが何もない」という意味で「無敵の人」と揶揄(やゆ)する表現や、引きこもり当事者について、同様の犯罪を行う予備軍のように扱う表現が目立った。

 男性は、事件後のこうした反応について、「(昔と比べて)引きこもりが社会に受け入れられていると思っていたが、まだ偏見がある」と感じている。

 引きこもりを危険な存在とする風潮が強まったのには、いずれも容疑者が引きこもり状態にあったとされる平成12年の西鉄バスジャック事件がある。当時、友人とのトラブルなどが原因で引きこもっていたという大学院生の男性(32)は「親以外の周囲から腫れ物に触れるように扱われた」と打ち明ける。

 引きこもる理由は虐待や失業、いじめなどさまざま。しかし、「引きこもり」とひとくくりにして問題を解決しようとする風潮に「昔からある偏見がぶり返されている」と感じる。川崎の事件では、容疑者が死亡していることから、凶行に及んだ背景について「みんな分かりやすい『引きこもり』という答えがほしいのではないか」と推察した。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ