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【大阪「正論」懇話会】「生きたかった人々の話伝えたい」落語家、桂春蝶さん

「落語で伝えたい日本人のこと」と題して講演する桂春蝶師匠=17日、大阪市天王寺区のシェラトン都ホテル大阪(前川純一郎撮影)
「落語で伝えたい日本人のこと」と題して講演する桂春蝶師匠=17日、大阪市天王寺区のシェラトン都ホテル大阪(前川純一郎撮影)

 大阪市天王寺区のシェラトン都ホテル大阪で17日、大阪「正論」懇話会の第55回講演会が行われ、落語家の桂春蝶(しゅんちょう)さんが「落語で伝えたい日本人のこと」と題して講演した。講演後には、明治時代に和歌山沖で座礁したトルコ軍艦の乗組員を日本人が救助した実話を基にした落語「約束の海-エルトゥールル号物語」を熱演した。講演内容の要旨は次の通り。

     ◇

 私は平成25(2013)年から日本の史実にのっとり、命や死生観、人間愛などを語る落語を作っています。落語は本来笑いをとるものですが、なぜ落語で命を語るのか。それは私の実父の2代目桂春蝶や、子供の頃から家に来られていた芸人の方々と深い関係があります。

 父はとても痩せていて、身長175センチ、体重は41キロしかありませんでした。自動ドアの前に立っても「軽すぎて開かない」とか、「甲子園に行けば阪神が必ず負ける」とか言われて、阪神応援団が春蝶帰れコールをするほど有名だったんですよ。私は、父の死をきっかけに、父の師匠にあたる3代目桂春団治に19歳で入門し、今年で25周年になります。

 小学5年生のとき、父は大親友の桂枝雀さんを家に招いて、天然のてっちりを皆で食べようと張り切って用意していました。ところが、枝雀さんは家に来るなりまだ少年だった私に「あなた、悩みごとはありませんか」と聞くのです。「ない」といったらいけないような気がして、「本能寺の変で、織田信長が明智光秀に殺されたと習いました。でも、誰も見てないのになぜわかるのでしょうか…」と答えました。

 すると、枝雀さんがなぜか私の手を取り泣いているんです。泣きながら、「あなたは、私と同じ星の住民です」というんです。「私ね、あなたのようなことで毎日悩んでるんです。今日は会えてよかった」と言いながら、てっちりに一切、手をつけずに帰ってしまいました。

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