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近畿の“空白”埋まる 大阪に初の世界遺産「新たな人の流れを」

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスによる勧告で、世界文化遺産登録がほぼ確実になった百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群。登録が正式に決まれば、大阪府では初の世界文化遺産となる。2025年大阪・関西万博の開催も決まり、インバウンド(訪日外国人客)数が増加の一途をたどる大阪。登録による経済効果が1千億円を超えるという試算もあり、地元の期待も高まっている。(鈴木俊輔 吉国在)

インバウンド増

 国内の世界文化遺産は18カ所。近畿では平成5年に国内で初めて登録された姫路城(兵庫県)、法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)など5カ所にあり、大阪は近畿唯一の“空白地帯”だった。

 近年、大阪へのインバウンド数は増加の一途をたどり、30年には過去最高の約1200万人を記録したが、多くが買い物目的などで大阪市内に集中している。公益財団法人「大阪観光局」が同年7月、関西国際空港で約1300人を対象に訪れた観光地などを調査した結果、上位を占めたのは道頓堀(950人)、大阪城(720人)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(496人)。同古墳群を訪れたと回答したのはわずか1人だった。

 「堺市は大阪市と関西空港の中間にあるが、訪日客に通過されることが多い」と語るのは、公益社団法人「堺観光コンベンション協会」の担当者。同古墳群のメインとなる仁徳天皇陵古墳(大山=だいせん=古墳)を持つ堺市は、世界遺産登録を契機に、関西空港から堺市を経由し大阪市へと向かう新たな観光ルートが定着することに期待する。

企業もPRに一役

 百舌鳥・古市古墳群は堺市の百舌鳥エリアと、羽曳野市、藤井寺市の古市エリアから構成される。

 百舌鳥エリアを沿線に持つ南海電鉄は、昨年2月に公表した中期経営計画に同古墳群を活用した新たな観光需要の創出を盛り込んだ。沿線にある世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」と合わせた観光プランの開発も視野に、「エリアを挙げておもてなしができるように準備していく」とする。

 古市エリアを走る近鉄も、6月に「目指せ!世界文化遺産を大阪に」と題した6つの古墳をめぐるウオーキングイベントを企画。大阪府も周辺地域の歴史や文化に触れる同古墳群の周遊ルートを策定することを決め、4月に委託先の民間事業者を選定。観光客に向けたPRを本格化させる。

経済効果はいかに

 堺市の公益財団法人「堺都市政策研究所」が公表した試算では、同古墳群が世界遺産に登録された場合、堺、羽曳野、藤井寺の3市への観光客数は、27年度の約1・8倍に当たる約2千万人と推計。経済効果は府全体で約1005億8400万円に及ぶという。

 実際、他の世界文化遺産では登録決定後に観光客が急増した。29年に登録が決定した「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)では約3割増加し、現在は年間約100万人が訪れる一大観光地に。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本県)でも、登録が決まった昨年7月以降の9カ月間で前年比5割増となる約69万人が来訪した。

 百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録が正式決定されるのは6月末から7月の見通し。堺観光コンベンション協会は今夏、観光案内所の営業時間を延ばすことやボランティアの増員などを検討しており、担当者は「多くの観光客に堺を訪れてもらうチャンス。爆発的な増加につなげたい」と話している。

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