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【夜間中学はいま】(5)戦災孤児 喜びの涙も覚えた

読み書きの先に

 読み書きができるようになると、街の看板も買い物のレシートさえも声に出して読みたくなった。「新聞も主人の弁当箱を包むものでしたが、世界中で起きていることを伝えてくれるものになりました」。入学して間もない頃に先生が黒板に書いた言葉を思い出す。「文字とことばは人間のいのち」-。「その通りです。夜間中学は、読み書きができることの先にあるものを教えてくれました」

 小さいときから「人は怖いもの」と思って生きてきた。「死ねないから生きているだけ」だった。つらいことがあっても歯を食いしばって生きてきたせいか、楽しさも感じなかった。学校に通うようになると、物事に感動して涙が出るようになった。心を開き、本音で、自分の言葉で語れるようになった。それが何よりうれしい。だから、戦争や貧困などで学びを奪われた数多くの人たちに「勇気を出して一歩を踏み出して」と呼びかける。

 学ぶ喜びをかみしめながら西野分校で3年を過ごし、進学した定時制の兵庫県立湊川高校(神戸市)も4年で卒業した。それから10年近くたった今も同高校内や民間の識字教室に通う。「せっかく覚えた文字で、自分の思いを伝えられる喜びを忘れないために勉強を続けたい」

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