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【ビブリオエッセー】レット・バトラーに恋して 「風と共に去りぬ」マーガレット・ミッチェル

 私の1冊、それはミッチェルの「風と共に去りぬ」以外に何もない。私の人生はこれで決まったのだ。

 中学生の頃、夢中になって読んだ。レット・バトラー、こんなかっこいい、男らしい男がこの世にいるのか。

 「およそ男が女を愛するのにこれ以上ないというほど、僕は君を愛した」。別れのときの「永遠の愛もさめるときがくる」。忘れられないセリフの数々。もちろん映画も何度も見た。クラーク・ゲーブルは思い描いたイメージにぴったりだった。

 高校3年のとき、大阪府の公務員採用試験を受けた。その面接で、試験官にこんな質問を受けた。

 「あなたの理想の男性を教えてください」

 一瞬、公務員試験でこういうことを聞くのかと思ったけれど、私は即答した。

 「レット・バトラーです。『風と共に去りぬ』のレット・バトラーです」

 バトラーが最後の決め手になったのかどうか、結果、私は合格した。

 一緒に受けた友人たちは誰もそんなことは聞かれなかったらしい。私のほかはみんな試験に通らなかった。

 その後、いろいろあった人生の中で何度も読んだ愛読書だったが、残念なことに紛失してしまった。

 最近、もう一度読み直そうと思って娘に取り寄せてもらった。なじみの翻訳者とは違う、聞いたことのない名前に少々とまどいながら読んだ。やはり懐かしかった。好きなセリフは覚えていた訳文とは少し違うなと感じたが、それもこれもひっくるめて、私の人生の一冊である。

大阪府東大阪市 河井静子(72)

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

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