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渋沢栄一の精神受け継ぐ東洋紡 紡績発展に尽力

東洋紡本社大会議室に飾られている渋沢栄一の肖像=9日午後、大阪市北区(安元雄太撮影)
東洋紡本社大会議室に飾られている渋沢栄一の肖像=9日午後、大阪市北区(安元雄太撮影)

 新しい一万円札の顔になる渋沢栄一。関西では、明治時代に紡績業の近代化に先鞭(せんべん)をつけた「大阪紡績」(現・東洋紡)の創設に力を尽くし、日本の基幹産業の育成に貢献したことで知られる。企業活動に道徳的な姿勢を求めた渋沢の考え方も、現在に引き継がれている。

 大阪市北区のビル12階にある東洋紡本社の大会議室。壁には歴代社長の肖像画や写真が掲げられている。その先頭にあるのが渋沢だ。普段は日よけのブラインドがかかっているが、入社式と株主総会の重要な節目には、社員が見られるように公開される。

 東洋紡の前身、大阪紡績は明治15年、現在の大阪市大正区に設立された。江戸時代が終わり、外国から品質のよい綿製品が大量に輸入される中、渋沢は近代的な機械設備を導入した紡績会社の必要性を提唱。旧大名家や関東の綿商人らから出資を募り、大阪の実業家と協力して、同社の発足にこぎつけた。

 これを契機に明治時代半ばにかけて、関西には次々と紡績会社がつくられた。イギリスの産業都市になぞらえ、大阪は「東洋のマンチェスター」と呼ばれるほど発展。日本を世界の列強に並ぶ国へと押し上げる一翼を担った。

 東洋紡の役員会議室には「順理則裕」(理にしたがえば則(すなわ)ち裕(ゆたか)なり)と渋沢が揮毫(きごう)した扁額(へんがく)がある。合理的に行動し、道理・倫理を尊重することが豊かさにつながるとの意味だ。

 楢原誠慈社長は今年の入社式で、「順理則裕を実践するように心がけてほしい」と新入社員に訓示。渋沢の座右の銘の一つは、企業理念になっている。

 交通やエネルギー、金融、食品など多様な産業に足跡を残した渋沢。34年には大阪瓦斯(大阪ガス)の監査役に就任し、ガス産業の発展に尽力した。京阪電気鉄道の39年の立ち上げでは創立委員長としてかかわり、後に相談役を務めた。京阪ホールディングス(HD)も渋沢の考えを創業精神として残し、紙幣の肖像画に用いられることに同社は「大変光栄であり、喜ばしいこと」と歓迎した。

 大阪企業家ミュージアム館長の宮本又郎・大阪大名誉教授は「渋沢は近代日本経済の扉を開いた最も重要な人物だ。『道徳経済合一説』を唱え、経済活動での営利性を肯定するとともに倫理性、公益性を主張してやまなかった。経済的停滞が続き、企業不祥事が頻発して経済人のモラルが問われるいま、渋沢を(新紙幣に)登場させる意義は大きい」と指摘した。

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