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【夜間中学はいま】(3)壮絶な過去…再び動き出した人生

■取り戻した青春

 日本人の間でも認知度が高くない夜間中学を知るきっかけは、兵庫県尼崎市の市立成良中学校琴城分校だった。日本語での学校生活が難しいフィリピン人の生徒を母語のタガログ語で支援する県の「子ども多文化共生サポーター」として派遣された。そこで目にした光景に強い衝撃を受けた。

 「おばあちゃんも、おじいちゃんも、いろんな国の人もいて、熱心に学んでいる。フィリピンでは年をとった人が学び直すのは難しい。お金の面や、周りの目もあるし。こんな学校があるんやと、ほんまに驚いて、遠くても通いたいと思いました」。長い関西暮らしを思わせるイントネーションで、当時の興奮がよみがえったように語る。

 その後、神戸市に引っ越した。出会うことが運命だったように、偶然、自宅近くに西野分校があった。「光が見えてきました。通えるようになったときは本当にうれしくて、うれしくて」。試験登校の際、教材に名前入りのシールが貼られていた。「自分の居場所があった。歓迎されていると思いました」。27年春、正式に入学。「子供の頃にできなかったことが体験でき、青春時代に戻ったようでした」。戎さんの学びへの熱い気持ちを知る夫と5人の子供たちが、掃除や洗濯など家事の協力態勢を組み、通学を支えてくれた。

■夢は「国連で活躍」

 「夜間中学校で学んだのは、ただの数字や文字の読み書きだけではありません。空っぽだった心の中の何かが満たされてゆくように、私は成長しました」。昨年夏の東京で戎さんは語った。それは、さまざまな苦難を乗り越えてきたクラスメートと同じ場で同じ時間を過ごし、生まれた思いだ。

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