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「本業と無関係」「10年かかる」 キャビア養殖に挑む電線メーカーの生き残り術

 そして、その次の9年間の目標として、ゼロから新事業を生み出す「ゼロワン」を掲げた。「メディカル事業を立ち上げて育ててきた社員はみんな50歳を超えました。このままでは、新しいものを生み出すことができる人がいなくなってしまう、という危機感があったのです」と金子社長は話す。

 会社が継続していくためには、目先の利益を確保することではなく、新しい挑戦が必要。医療事業の経験から、それを実感していた。新事業立ち上げを経験した世代がサポートできるうちに、新たな芽を育てたかった。

金子コードの金子智樹社長
金子コードの金子智樹社長
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 では、何をやるか。金子社長は電線事業のトップを務める幹部社員を呼び出し、こう告げた。「金も時間も好きに使っていいから、新しいビジネスを探してほしい」

 そして、二つの条件を出した。一つは「今の事業の延長線上にないもの」。既存事業を生かせる事業であれば参入しやすいが、「それではゼロワンにならない」。ゼロから事業を立ち上げる経験を積みたいと考えていた。そして、もう一つが「2~3年で事業化できるものではなく、時間がかかるもの」だ。

 「これは、中小企業としては正しい選択だと思っています」と金子社長は強調する。「大手企業の社長は在任期間が短く、10年かかる事業にはなかなか参入しないのでは。オーナー企業だからこそできるのです。後に大手が参入してきたとしても、事業化に時間がかかるので、有利に進められます」

 チョウザメの稚魚1000尾、1週間で全滅

 新事業立ち上げを命じられた担当者は、経済成長が著しい東南アジアを中心に海外視察を繰り返し、さまざまなアイデアや商品を持ち帰ってきた。なかにはカテーテル関連のアイデアもあったが、「ゼロワンにならない」と却下した。

 そして数カ月後、将来的にマーケットがなくならない「食品」事業に絞り込んだ。畑を借りて野菜を育ててみたり、ウナギの養殖を検討したり、ワイナリーの調査をしたりしたが、どれも難しく、勝ち目がない。そんな状況が続いていたあるとき、金子社長と担当者の会話の中で偶然出てきたのが「キャビア」だった。

 「これです! やっと見つけました。やらせてください」。「キャビア」というキーワードに心が引かれた担当者は1週間で資料を集め、金子社長にそう宣言した。日本で流通しているキャビアはほとんど輸入。だから、長期保存のために塩を多く使い、保存料を入れ、殺菌処理をしている。国産で提供できれば、手を加える必要がない。「国産の生のキャビア」を売りにすれば、ビジネスになるのではないか。また、チョウザメの稚魚を育てるところから始めて、事業を軌道に乗せるのに10年はかかる。条件にぴったりだった。

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