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「介護は無理せず」認知症の母との12年、エッセーに

 別居時代、認知症に笑いが効くと聞けばアサヨさんが笑うようなはがきを作って出し、同居時代には、昼夜を問わず家を出ていくアサヨさんを、まるで探偵のように尾行しながら見守った。アサヨさんの家出回数は7年間で約2340回。距離は約3千キロにもおよび、ドキュメンタリー映画にもなった。

 楽しいイラストやユーモラスな記述が多いが、介護、同居生活の現実はシビアだ。「介護はきれいごとではいかない」という言葉に実感がこもる。

全国の家族に向けて

 「今(介護の)渦中にある人のために」と本を書いた酒井さん。介護を続ける全国の家族へのメッセージも込められているのが終章「これからの時代」だ。

 例えば、施設へ入所させるかどうかを悩む家族もいるだろう。その場合は「専門スタッフさんが素晴らしいプロの仕事をしてくれる」として冷静、客観的に判断するようアドバイスしている。家族が介護する場合でも、心労なども考えて「手抜き上手」であるよう求めている。

 今年に入り、アサヨさんは入退院を繰り返すようになったものの、穏やかに過ごす日も増えたという。酒井さんは、アサヨさんとの12年に及ぶ介護生活を「ママの登場は、能天気でだらしない私の暮らしに見事な『喝(かつ)!』を入れてくれた」とポジティブに受け止める。その姿勢が介護生活を続ける家族に勇気を与える。「認知症だって母の人生のひとつ。それを見続けていくのは私の役割」

  

 産業編集センター刊、税込み1404円。

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