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「最果て」交流体験ツアー ボーダーツーリズム広がる

 日本の国境地帯を訪れて国内の雰囲気との共通点や違いを体験する「ボーダーツーリズム」という旅行スタイルがある。「最果て」とみられがちな場所に根付く独自の文化や風習を学び、観光で地域の活性化も後押しする取り組みだ。北方領土や尖閣諸島(沖縄県)など、普段の生活からは遠い存在のボーダー(国境)だが、海外では観光資源として位置づけ、呼び水とする動きは珍しくない。日本でも産官学による推進団体も立ち上がった。(細田裕也)

 日本最西端の地、沖縄県・与那国(よなぐに)島。約110キロ西には台湾があり、晴れた日は年に数回、その姿を望むことができる。

 与那国島にとって台湾は沖縄本島よりも距離が近く、交流の歴史も古い。「戦前の日本統治時代、与那国と台湾の漁民は当たり前のように行き来していた」と話すのは、与那国町企画財政課の小嶺長典(たけのり)課長。終戦直後には密貿易でも栄えた。

 東日本大震災が発生した平成23年には、多額の義援金を寄せた台湾に謝意を伝えるため、6人の青年スイマーが与那国島を出発。台湾までリレー形式で横断し、被災自治体の知事からのメッセージを届けた。今年5月には、台湾の水上バイク愛好家らでつくる交流団が海を横断して与那国を訪れる計画もある。

 一方、現状では与那国と台湾の住民が直接行き来する交通手段は存在しない。小嶺課長は「国内の他の国境地帯にある自治体と連携を深めながら、ボーダーツーリズムを検討したい」と話している。

 こうした動きを支えようと2年前、旅行業者や国境に位置する自治体で構成する団体「ボーダーツーリズム推進協議会」(東京)が誕生。国境観光の普及や市場拡大を目指し、与那国町や北方の北海道・礼文町(れぶんちょう)など10の自治体を候補地として取り上げる。

 「国境を最果てではなく、隣国・地域への『ゲートウエー』(玄関口)と位置づけることで新たな魅力を発信したい」。協議会の伊豆芳人会長は強調する。設立以降、長崎・対馬-韓国・釜山(プサン)、長崎・五島(ごとう)-韓国・済州(チェジュ)島などの国境ツアーが開催された。

 なかでも昨年10月の長崎・五島と済州島を結んだツアーでは、関係機関の協力を得て、国際空港でない五島の空港からチャーター機が飛んだ。五島と済州島は、有数のツバキの自生地であることなどの共通点が多い。参加者らは、双方の文化の共通点や違いを実感しながら済州島関係者と交流。参加した五島市職員の中島安法(やすのり)さんは「ボーダーツーリズムで互いの交流がさらに活発になれば」と期待を込めた。

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