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変わるアイドルの引き際 山口百恵から嵐まで

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 来年末で活動を休止する人気アイドルグループ「嵐」の引き際について、ファンの間で波紋が広がっている。アイドルの引退をめぐっては、絶大な人気を誇りながらも昨年有終の美を飾った安室(あむろ)奈美恵さんや、最後のコンサートでステージにマイクを置いて去った山口百恵(ももえ)さんら印象的なケースも少なくない。ただ、最近は引退や活動休止まで猶予期間を置くなど、引き際のありようも変わってきているようだ。(江森梓、有年由貴子)

 「普通の生活に興味がある」。1月27日に嵐が開いた記者会見で、リーダーの大野智(さとし)さん(38)が活動休止の理由を語った。嵐は平成11年9月に結成。NHK紅白歌合戦に10年連続出場するなど国民的人気を誇る中で、突然の発表だった。

 活動期間が長く、メンバー全員が30代後半。「かつてアイドルの寿命は20代半ばまでで、それ以降は『大人のエンターテイナー』に転身していった」と、江戸川大の西条昇教授(アイドル論)は説明する。

ファイナルコンサートで、白いマイクで歌う山口百恵(昭和55年10月5日撮影)
ファイナルコンサートで、白いマイクで歌う山口百恵(昭和55年10月5日撮影)

 ところが、嵐の先輩にあたる「SMAP」(28年解散)の誕生以降、ソロでも俳優、ニュースキャスターなどとして活躍するようになり、息の長い活動が可能になった。ただ、大野さんが会見で示唆したように年を重ねてもアイドルとしての行動規範が求められ、私生活が制約されるなど、代償も大きかった。

 社会の流れの一つ

 嵐の活動休止発表について「今の社会のありようを表している」と指摘するのは、現代文化に詳しい近畿大の清島秀樹教授だ。清島氏は「本来寂しいイメージがある引き際を、華やかなイベントに昇華している」と説明する。

 かつては1~2年の猶予を置いて引退や活動休止を発表することはなかった。しかし最近では「AKB48」の人気メンバーが卒業(引退)するとなると、最後の日までさまざまなイベントでファンを楽しませる。引退を発表してからの1年間、ツアーで多くの観客を動員した安室奈美恵さんもしかりだ。

 嵐の場合は、グループとしてテレビやCMへ出演している。スポンサー企業への影響を避けるため2年もの猶予を置いたとみられるが、今後、ファン向けのメモリアルツアーの展開も予想される。

 清島氏によると、今はやりの「婚活」や「終活」にある種通ずるものがあるといい、「商品になるものは全部イベント化してしまう、今の社会の流れの一つではないか」と話す。

 理想の引き際とは

 では、どんな引き際が理想的なのか。西条氏が印象に残っているのは、結婚を機に21歳という若さで引退した山口百恵さん。「(一人の)女性としての意志を感じた」。芸能ライターの西幸男氏は、AKB48を卒業した前田敦子さんを推し、「まだ2~3年はセンター(のポジション)にいられたはずなのに、あっさりと辞めた。とてもインパクトがあった」と語る。

 「引き際の美学」(朝日新書)の著書がある評論家の川北義則氏は「潔さがある」として、夫との死別を機に芸能活動を休止した歌手のちあきなおみさんを評価。「日本人はどこかで常に潔さというものを求めている。どんなジャンルでも惜しまれつつ、きれいに身をひくのが、理想の引き際だ」と話している。

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